★周辺住民にも「石綿肺」被害
アスベストの救済法で対象から外されている「石綿肺」という病気が、
各地の企業が行った健康診断で、工場周辺の住民にも確認されていたことが
国の調査で初めてわかりました。しかし、国はこの結果を公表していないうえ、
詳しい実態調査も行っておらず、救済制度のあり方があらためて問われています。
石綿肺は、大量のアスベストを吸うことで起こる「じん肺」の一種で、
呼吸困難など深刻な症状を伴いますが、去年施行されたアスベスト
健康被害救済法では、医療費などの支給対象を中皮腫と肺がんだけに限っており、
石綿肺は「労働現場以外の一般環境では発症例がない」として救済の対象から
外されています。
ところが、昨年度、各地のアスベスト関連企業が工場周辺の住民5500人余りを
対象に行った健康診断について、厚生労働省が報告を求めた結果、石綿肺と診断された
人が少なくとも8人いたことがわかりました。
しかし、この結果は公表されていないうえ、住民の被害を担当する
環境省にも連絡されず、詳しい実態調査は今も行われていません。
厚生労働省は「アスベストを吸った労働者の健康問題の対応に追われ、
発表するタイミングがなかった。非公開の資料なので、環境省にも伝えていない」
と話しています。
これについて、アスベスト問題に詳しい石綿対策全国連絡会議の古谷杉郎事務局長は
「政府が一体となって、透き間の無い被害の救済を考えるべきなのに、なぜこの事実が
無視されているのか。一刻も早く実態を把握し、救済制度のあり方を見直してほしい」
と話しています。
NHK
http://www3.nhk.or.jp/news/2007/01/02/k20070101000124.html