冷戦後の世界はグローバル経済の歴史的な興隆期にある。復活はしたものの日本経済に
力強さが欠けるのは、このグローバル経済の息吹を十分に取り込んでいないからだろう。
企業のグローバル展開がめざましい半面で「内なるグローバル化」は進んでいない。
日本人の心を開き、懐深い開放経済をめざさないかぎり、日本経済に次の時代は築けない。
「開放なくして成長なし」である。
(中略)
日本経済が失われた時代から抜け出す際にも、外資は役割を果たした。日本経済復活の
決め手になった金融再生は公的資金注入とともに、外資ファンドの役割が見逃せない。
日産自動車が再建できたのも仏ルノーの資本とカルロス・ゴーン氏の経営手腕によるところ
が大きい。
これだけ直接投資の効用がはっきりしているのに、なぜ直接投資で「日本だけが例外」
(グリアOECD=経済協力開発機構=事務総長)なのか。大田弘子経済財政担当相は
「対内直接投資がなぜ伸びないか検証が必要な段階だ」と指摘する。
原因はいくつかある。日本の高コスト体質や様々な規制、高い法人実効税率などがあげ
られる。国境を越えたM&A制度の不備も直接投資の壁を高くしている面がある。
(中略)
日本と日本人にその潜在力は十分にある。潜在力を生かすためには、第1に日本のソフト
パワーに磨きをかける。技術力と文化力、そして外交力をかみ合わせたソフトパワーは大きい。
日本は磁力を生む技術、文化センターになりうる。
第2に、成長戦略を立て直す。IT(情報技術)革命による生産性向上と合わせて、
グローバル戦略を柱にすえる。東アジアでの経済連携を開放経済へのてこにする。
第3に、指導者が開放に政治責任を果たす。安倍晋三首相自ら対内投資誘致の先頭に立つ。
自治体の長は公共事業ではなく投資誘致こそ競うべきだろう。
このグローバル時代に日本は「国を開いて心を鎖す」(新渡戸稲造)では済まない。懐深く
志高いグローバル国家に変身するときである
■ソース(日経新聞)(中略部分はソースで)
http://www.nikkei.co.jp/news/shasetsu/index20061231MS3M3100E31122006.html