奈良県橿原市の県警橿原署の駐車場内で今月15日、頭にけがをしているのを見つかった
同県大淀町内の木工業男性(42)が、同署の通報を受けて来た中和広域消防本部橿原
消防署の救急隊員から、「搬送先の病院を探すのに時間がかかる」などとして、搬送を
拒否されていたことがわかった。
その際、隊員は搬送先を探しもしなかったという。男性は家族が家に連れ帰った後も、
意識が戻らず、運ばれた病院で外傷性脳内出血と診断され、約9時間後に手術を受けたが、
重体のまま。消防本部は「結果的には搬送すべきだった。職務怠慢と言われても仕方がない」と
ミスを認めている。
橿原署や消防本部などによると、男性は15日午前2時10分ごろ、同署駐車場で頭から
血を流しているのが見つかった。同市内の飲食店で飲酒後、店近くの駐車場で転倒、
頭などを強打したとみられ、約300メートル離れた署の駐車場に迷い込んだらしい。
当初は意識があり、署員が氏名と連絡先を聞き出したが、約50分後に意識を失ったため
家族を呼び、橿原消防署に搬送を要請した。
救急隊員は、男性を見て転倒による軽傷と判断。家族が「大淀病院の妊婦が死亡した
問題のこともあるので、病院に運んでほしい」などと懇願したが、消防隊員は搬送先を
探さず、「朝まで大丈夫なので、様子を見て病院に運んでほしい」と説得して引き揚げた。
この際、家族は「私の都合により、救急搬送をお断りします」という内容の「救急搬送
承諾書」に署名を求められ、書いたという。
当時の近隣の救急病院の受け入れ状況は不明だが、県内の他の消防本部によると、
家族から救急搬送の要望があった場合、断ることはなく、たとえ近隣の病院が満床であっても、
見つかるまで受け入れ先を探すという。高橋善康・橿原消防署長は「脳内出血かどうかを
見極めるのは難しいが、結果的に判断ミスをした。再発防止に努めたい」と話している。(一部略)
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20061118i501.htm