高床式倉庫の建材出土 県内で初
県文化財センター(和歌山市)は3日、有田川町の野田地区遺跡から、古墳時代前期の高床式倉庫の建築部材
が県内で初めて出土したと発表した。柱や垂木など倉庫が復元できるほどの種類と量があり、来年度、正確な縮
尺と構造の高床式倉庫の復元作業に取り組む予定。
近畿自動車道複線化に伴い、同センターが4月から8月まで調査した。
出土した柱は、長さ3・5メートル(直径11センチ)と長さ2・75メートル(直径14センチ)の2種類があり、
建物は複数あったとみている。垂木などの長さから1棟の面積は約15平方メートルと推測。板木がほとんど出て
いないことから草壁が用いられたとみている。柱材の状況やはしごの長さからみて床の高さは0・8メートルほ
ど。素材は主にヒノキやイヌマキなどが使われている。
また、1980年度に調査した隣接地からも建築部材が出土していたが、当時は何に使われたか分かっていな
かった。今回の出土品と比較することで、高床式倉庫の材料であることが分かった。
建築部材に混在して机やいすの部材、小型丸底つぼなどが多く出土している。これらの遺物が祭祀(さいし)
に使用されることが多いことから、祭にかかわる建物であった可能性が高いという。
同遺跡ではこれまでに、全国で2例目となる犂(からすき)や大型の人形(ひとがた)など多くの木製遺物が
出土している。これらは粘土質が遺物をパックした状態となり、空気に触れず腐敗しなかったために残ったと見
られる。
工楽善通・大阪府立狭山池博物館館長の話 1本の木で造ったはしごが2点出土していることから、付近には
2棟以上の高床倉庫か稲倉が建っていたと考えられる。建築材は、あまり損傷を受けずに投棄されていることか
ら、発掘地の近くに建っていたものが廃棄されたのであろう。
('06/10/05)
ソース:
http://www.agara.co.jp/modules/dailynews/article.php?storyid=112632 画像:
【出土した建築材の状況(有田川町で)】
http://www.agara.co.jp/modules/dailynews/newsphoto/1126321.jpg