◇国旗国歌強制に違憲判決(9月23日)
靖国参拝での小泉首相の物言いではないが、これこそ「心の問題」だったのではないか。
卒業式などでの国旗・国歌強制は「思想・良心の自由を侵害する」とした東京地裁の判決は、
妥当な内容にみえる
▼国旗国歌法が成立する前の国会審議で、当時の野中官房長官が答弁した。
「日の丸、君が代は一時期、誤った方向に使われた時代も経験した」。
戦前、軍国主義を鼓舞するのに利用されたことを踏まえての発言だ
▼法制化を推進した野中氏にもこうした考えがあった。
かつて日の丸を振り、君が代を歌うことで戦意があおられた歴史に対して、一般の国民の中に、
より強い違和感を持つ人がいて不思議はない。
それは教職員でも同じことだ
▼東京都教委の通達は「国旗に向かって起立し、国歌を斉唱する」ことなどを求めた。
生徒を指導する際の「外形的」な行為で、内心の自由は侵害しないのだという。
たとえ表向きであっても、従うならそれでよい
▼これでは面従腹背の教職員を増やすばかりであろう。生徒の感性は敏感だ。
裏表があって信頼されるはずはない。不起立でも処分を受けないことが、学校教育の前提ではないか
▼野中氏は法制化の前「強制や義務化はない」と述べていた。
わずか七年後の現在、起立しない者を異端視する雰囲気が社会に広がったようにみえる。
多様な意見が尊重されてこそ、歌って誇りたい国となる。
ソース:北海道新聞 卓上四季
http://www.hokkaido-np.co.jp/Php/kiji.php3?j=0033