マウスの脳内に、周期的に餌を探す行動をつかさどる「腹時計」が
存在することを米テキサス大の柳沢正史教授らが突き止め、31日
付の米科学アカデミー紀要(電子版)に発表した。
同様の時計は人にもあるとみられ、食行動とかかわりの深い肥満
や、内臓脂肪型肥満に高血圧などが重なる「メタボリック症候群」の
治療法開発などにつながる可能性があるという。
マウスは本来夜行性で、昼に眠り、夜に餌を食べる。ところが、昼
の決まった時間にだけ餌がある状態に置くと昼夜が逆転、餌の時間
の直前に活発に餌を探すようになる。昼夜を刻む通常の体内時計が、
腹時計に取って代わられると考えられるが、腹時計が脳のどの部位
にあるかは謎だった。
柳沢教授らは、昼夜逆転させたマウスの脳を詳しく調べ、「視床下
部背内側核」と呼ばれる部位で、餌の周期に合わせて時計遺伝子が
活発に働いていることを突き止めた。マウスを絶食させても遺伝子は
餌の時間になると活性化したことから、この部位が餌の時間を覚える
腹時計として働いていると判断した。
柳沢教授は「腹時計が食欲や食行動を支配する仕組みを解明すれ
ば、人での治療法や薬の開発に役立つ」と話している。
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