>>127をテキストに起こしてみた。
追加部分に強い作為
元官房長官の富田朝彦氏の手帳を日本経済新聞がスクープし、その中で昭和天皇が強い不満を
洩らされていることが明らかにされた。天皇ご自身がいかのような感慨、判断、見識を持たれ
ようともそれは自由だか、発表をめぐるいきさつが極めて政治的であることに疑問を感じざる
を得ない。また天皇の見解は靖国問題に法的に結論を出すようなものではないことを確認して
おく。
第一の疑問点は手帳の核心部分である「私はあれ(合祀)以来参拝していない。それが私の心
だ」と書かれている部分が、手帳とは別の紙に書かれ、のちに手帳に貼り付けられていること
だ。富田氏が書き忘れて、あとで追加したにしてはあまりにも重要な部分だ。その他の項目が
極めて日常的な記述であること(七月二十一日付け)を考慮すると、そこに強い作為を感じざ
るを得ない。
日経によると富田氏を親しい貴社がご遺族から預かり、日経の金庫に収まっていたという。そ
の時期は昨年といわれるが、自民党総裁選挙を控えたこの時期を選んで発表されたのは明らか
に政治的判断が加わったと考えざるを得ない。
靖国参拝問題を総裁選挙の争点に仕上げるということ自体が異常だが、現実的には争点そのも
のになり、@A級戦犯の分祀派A靖国とは別の国立追悼施設を作るBいずれかによって日中関
係の改善を図る―の三派に絞られている。いずれも究極の目的は「中国が文句をいわないため
の妥協策」にすぎない。
これに対して小泉首相や安倍晋三氏は靖国神社の祭祀は純然たる国内問題であるとの立場だ。
安倍氏は@A級戦犯は国内法上も違法ではないA国際条約上も完全に解決しているB日中条約
には相互不干渉の原則がうたわれている―ことをあげ「国家のために殉じた人に感謝し、哀悼
の意を捧げるのは当然」と公言している。
こういう状況であるから“参拝自粛”の三派は言論界も含めて、福田康夫氏を安倍氏の対抗馬
をして担ぎ上げる思惑だった。