耐震強度偽装事件の再発防止策を検討している国土交通省は26日、1級建築士全員に
新たな試験を受験させ、不合格の場合は1級建築士の資格を認めないことを柱とする
制度改革素案を明らかにした。
同省は、建築士法改正案の次期国会提出を目指しており、試験が実施されると、
現在登録者数約30万人の1級建築士は激減することになりそうだ。
素案や国交省の説明によると、法改正により高度な建築知識・技能を持つかどうかを
調べる試験を創設。これに不合格となったり、受験しなかった1級建築士は、新たに設ける
「準1級(仮称)」や、「2級」に降格させることを検討している。
1級建築士の登録者は約30万人だが、死亡や引退などの報告義務がないため実態は不明だ。
また一度資格を得ると、更新も必要ない。新試験により、実態のない資格者や、知識・技能不足の
1級建築士多数がふるい落とされるとみられる。将来は新試験を定期的に行うことも検討している。
制度改革に伴い、高さ20メートルを超える鉄筋コンクリート造りの建物などの設計は、
新試験に合格した1級建築士だけに許可するなど、業務範囲も見直す。
素案ではまた、建築の構造、設備分野に新たに専門資格者制度を創設。新試験にパスした
1級建築士だけが、これらの専門資格者を統括し、建物の設計で最高責任を負うという構想だ。
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20060626i215.htm