【社会】改造オートバイの集団に取り囲まれ、車発進で相手負傷、差し戻し審で正当防衛認め無罪 甲府地裁[05/03]

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548名無しさん@6周年
傷害事件逆転無罪

 「あきらめないで戦って良かった」――。妻子を乗せて帰宅途中、改造オートバイで集団走行していた男性らに取り囲まれ、恐怖心などから
車を発進させ相手を負傷させた傷害事件の差し戻し審で、甲府地裁の矢野直邦裁判官は2日、甲府市の会社員の男性被告(42)に無罪を
言い渡した。事件から4年目にして、無罪判決を勝ち取った会社員は安堵(あんど)の表情を見せた。
正当防衛を認めた矢野裁判官は判決の読み上げ後、「今年のゴールデンウイークは家族と平穏な気持ちで過ごしてください」と語りかけた。
会社員は事件現場から約1・4キロ逃走したが、信号待ちで“被害者”とされた男性を含む集団約10人に車から引きずり出され、妻とともに暴行
を受けた上、車の窓ガラスを鉄パイプのような物で割られた。この傷害・器物損壊事件の加害者は不起訴のまま。会社員は「不公平な扱いには
不満が残る」と割り切れない気持ちも垣間見せた。
会社員は被害届を出したが、甲府地検は「加害者の特定が困難」などとして、加害者を不起訴とした。会社員側の申し立てを受けた甲府検察審
査会が不起訴不当の議決を出したが、甲府地検は関係者の取り調べなど再捜査の末、再度、同様の理由で不起訴とした。
初動捜査で相当数の目撃者を確保していなかったといい、深沢一郎弁護士は「適正な捜査をしていれば、加害者を特定できた可能性が高い」と
当時の捜査を批判するが、甲府地検の南野聡次席検事は「再捜査は適正に行われたと認識している」とした。
昨年1月の一審判決は「一歩間違えれば生命を奪いかねないもので、携帯電話で110番通報するなど他に方法があった。正当防衛には該当し
ない」と会社員の主張を退けた。
2日の判決で矢野裁判官は、集団に取り囲まれた際、「第2現場で受けたような執拗(しつよう)で苛烈(かれつ)な暴行を受けたがい然性が高い」
とし、車を発進、加速させた行為をやむを得ないとした。さらに、男性の証言を「被告が不利になるように事実をゆがめて供述していると見受けられ
る点がある」と退けた。
甲府地裁では先月25日にも覚せい剤取締法違反事件で無罪判決が出ている。

(2006年5月3日 読売新聞)

http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/yamanashi/news001.htm