・日教組は今年2月20日付の機関紙「日教組教育新聞」で、男女共同参画基本計画改定に
ついて次のように書いている。
=「ジェンダー」の用語は残ったものの「『ジェンダーフリー』という用語を使用しての性差否定は
『国民が求める男女共同参画社会と異なる』」と明記するなど、国際的流れに逆行する表現が
盛り込まれている=
政府の基本計画に反して、性差否定のジェンダー・フリー教育を今後も公教育の場で続けて
いく意向表明とも受け取れるような見解である。
日教組の教員たちは実際にはどう受け止めているのか。2月末、三重県で開かれた日教組の
第55次全国教育研究集会(全国教研)を取材してみた。「両性の自立と平等をめざす教育」
分科会は2日間にわたって行われ、初日は男女混合体育について議論が集中した。
北海道の小学校教員から5年生の短距離走について報告があった。「クラス全員のタイムを
男女別に表示する分布図をつくると、80−90%の子供が男女の別なく同じ範囲に入っていて
タイムの差は男女差よりも個人差によるものであることが分かる。だから一緒に走らせても
女子に不公平ではない」という結論だった。これに対して、中学校や高校まで追跡調査をして
いるのかという質問が、京都の高校教員から出された。年齢とともに男女の平均的な体力差は
より明確になる。「小学生とそれ以上では、男女差が違ってくるのではないか」というもっともな
質問だと思った。
ところが、質問者の意図はまったく違っていたのである。北海道の教員が「(中学)2年生と
3年生では、男女差が広がります。やはりジェンダーというものが子供達に関わって
きてるんじゃないか。女の子が一生懸命走ることがカッコ悪いだとか、自分は女だから速く
なくていいんだとか…テレだとか恥ずかしさだとか…そういうかたちで自分の力を発揮して
ないのではないか、と考察しています」と答えると、質問者は「中学2年から3年で女性が
おそらく遅くなっていく。そこにジェンダーがあるんじゃないかという話で、それが
聞きたかったんですわ」と゛我が意を得たり゛の表情だった。
要は、男女の体力差にも「ジェンダー」が影響していると考えているのである。(
>>2-5につづく)