★三沢基地と一体運用も/「Xバンド」報告書
つがる市の空自車力分屯基地内への配備が濃厚となっている米軍の新型早期警戒レーダー
「Xバンドレーダー」について、専門家三人で構成する検討会は二日、「検討結果報告書」を
県に提出したが、14ページに及ぶリポートから浮き彫りになったのは、米軍三沢基地をも
巻き込んだミサイル防衛(MD)最前線の姿。報告書について、県は国から正式に協力要請が
あった場合の参考資料にしたい−としているが、Xバンドレーダー配備をめぐる波紋の輪は
三沢市にも広がりそうだ。
報告書は大きく分けてXバンドレーダーの意義と、配備に伴う影響の二部構成となっている。
この中で、東アジアをにらんだMDの観点から、Xバンドレーダーの必要性と配備の緊急性を
強調する一方、県民が不安視している人体やテレビ・ラジオ、携帯電話、GPSなどへの
障害についてはほとんどない−と分析している。
内容的には防衛庁が現地説明会などで配布した資料と大差がなく、“推進色”が濃厚。
報告書をめぐっては当初から、中立性、客観性が確保されるかという疑問の声が関係者から
上がっていた。その中で最も注目されるのが、後方支援の拠点として米軍三沢基地の重要性を
指摘している点。「Xバンドレーダーの管理運用の上で必要となる補給中継や、管理運用に
当たる米軍関係者の休養のためのローテーション先として利用される可能性がある」と、
車力と三沢の一体運用の可能性を挙げている。
また三沢については、米国からXバンドレーダーを空輸する際にも、受け入れ拠点となるとの
見通しを立てている。日米が構築しようとするMD網の中で、車力と並んで三沢が重要な
軍事的位置を占めること。その結果、本県で「MD最前線」が形成される可能性があることを、
報告書はあらためて提示した形だ。
これまでXバンドレーダーの車力配備計画の中で、米軍三沢基地との関係は不明確なままだった。
車力が有力候補地に選ばれた理由に三沢が関係しているか−との本社の質問に対しても、
防衛庁は「それはあまりないと思う」(木村太郎副長官)としていた。
東奥日報
http://www.toonippo.co.jp/tokushuu/xbandradar/news2006/0303_2.html