【モスクワ=内藤泰朗】武器輸出大国ロシアが、兵器の近代化を急ぐインドに最新型ミサイル防衛
システム売却を提案していることがこのほど明らかになった。インドが導入を決めれば、南アジアで初となる。
だが、近代軍備を増強する中国を念頭にインドとの関係強化を目指す米国も兵器輸出に動いており、
経済成長著しい南アジアでの軍拡競争は避けられない情勢となっている。
ニューデリーで開かれた兵器見本市のロシア代表団長を務める連邦兵器協力局のジルカルン局次長が二日、
ロシア製ミサイル防衛システムのインドへの売却計画が進行中であることを明らかにした。
ロシアでの報道によると、インドは、隣接する仮想敵国のパキスタンと中国からのミサイル攻撃を想定した防衛
システムの構築を検討しており、ロシア側は自国の最新ミサイル防衛システムS300とS400の売却を提案した。
首都ニューデリーの防衛だけならS300で対応できるが、核施設など全土に散らばる複数の拠点防衛のためには、
偵察衛星が敵国のミサイルを発射の瞬間から捕捉して追尾し迎撃する、より強力なS400が有効で、
システム構築には五十億−百億ドルが必要だという。S300については、中国が購入を決めたと伝えられているが、
S400については、どの国も導入に動いていない。
ロシアは、この十年間でインドに対し約百億ドル(約一兆二千億円)にのぼる兵器を売却。インド軍の兵器の
約70%はロシア製となっている。ロシアは一方で、インドのライバルである中国にも大量の近代兵器を輸出しており、
急速に発展するアジアの二大国を兵器の近代化で競わせ、大きな商機をつかもうとしている姿が浮き彫りになっている。
しかし、米国は軍拡路線を邁進(まいしん)する中国の動向を警戒し、そのライバルであるインドとの政治、経済関係強化に
動いている。軍備面でも米国製F16戦闘機のリース契約を進めるなど、インドに急接近する姿勢を強めている。
そのため、ロシア側は、米国が今後、ロシアとインドの兵器協力を阻止する
動きに出る可能性が高いとみて警戒感も抱いている。
ソース(YahooJapan 産経新聞)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060210-00000010-san-int