★公立中高一貫校の“入試”、5000人が挑戦
「12の春」の試練(都立小石川中等教育学校で) 東京都内で今春開校する公立の
中高一貫校4校で3日午前、入学試験にあたる「適性検査」が行われた。
昨春開校の1校も含む5校には、定員総数の9倍強にあたる計6670人の応募が
殺到したため、内申書による一次選抜を3校で実施、この日は5校で約5000人が
“12の春”の試練に挑んだ。
私立中学受験が過熱する中、授業料が安い公立校も中高一貫教育に乗り出した
ことで、中学受験の現場に「新たなブーム」(大手進学塾)が生まれつつあるようだ。
5校の内訳は、都立4校と千代田区立1校。最も倍率が高かったのは都立小石川
中等教育学校(文京区)で、155人の募集枠に1907人が応募、12・30倍の難関と
なった。23区初の設置となる千代田区立の九段中等教育学校では、定員160人の
うち、区民以外の都民募集枠80人を確保したところ、888人が応募、同枠の倍率は
11・1倍に跳ね上がった。
同校のセールスポイントは、予備校講師を招いて土曜日に隔週で行う補習や、オー
ストラリアへのホームステイなど。計5回開いた学校説明会には、延べ1万人以上が
集まった。
都立側も、「理科好き、数学好きを育てる自然科学教育」(小石川)、「論理的な思考
力の育成」(桜修館中等教育学校=目黒区)など、それぞれ独自色を打ち出している。
都教育庁では「(高倍率は)特色ある教育に対する関心と期待の表れ」と自己分析し、
進学塾の市進学院は、「地元の公立中と同じ費用で高いレベルの教育を受けられる
からでは」と推測する。
都は2010年度までに一貫校を10校に増やす方針。神奈川県でも09年度に2校、
千葉県でも08年度までに2校、埼玉県でも07年度に1校の新設予定がある。
(
>>2以降に続きます)
(2006年2月3日14時29分 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20060203it07.htm (
>>1つづき)
公立の中高一貫校は、1997年の中教審の答申を受け、99年から登場した。現在、
高校入試がないタイプの一貫校は全国に46校で、新年度以降、30校以上の開校が
予定されている。
これを受け、塾側も一昨年ごろから、公立中受験向けの講座を相次ぎ開設している。
大手進学塾の担当者は「公立の参入で中学受験そのものに関心のある人が増え、
塾にとってもマーケットが広がった」と語る。
ただ、私立中と違い、制度上は「学力試験」を課すことができないため、適性検査の
出題傾向について都は「分析力や表現力を試す記述式が中心」と説明する。
栄光ゼミナールの山中亨・進学指導部課長は「実際に授業が始まり、在校生の様子
や大学受験の実績を見なければ、本当の評価は定まらない。今はイメージで人気が
高まっているが、(私立中と)どちらがいいかを実績で選ぶ時代が来るだろう」と話して
いる。