虐待や発達障害など子どもの心をめぐる問題が深刻化しているが、厚生労働省研究班
(主任研究者=柳沢正義・日本子ども家庭総合研究所副所長)は、全国の学校、保育所
約一万施設を対象に、発達障害とみられる子どもの実態など初の総合的な調査に乗り出した。
子どもの心を診療する医療現場の実態なども幅広く調べる。研究班は二〇〇七年度までに
学校や医療現場でのニーズや問題点を分析、専門医の養成プログラムなどの提言をまとめる方針だ。
厚労省などによると、虐待を受けた子どもが急増。注意欠陥多動性障害(ADHD)など
発達障害の受診も目立つ。しかし、いつ、どのような診療を受けているのか実態はよく分かっていない。
早期介入とケアが必要とされるが、専門医が足りず、病院によっては初診まで三カ月から半年待ちと
なるなど医療体制の立ち遅れが指摘されている。本年度はこうした実態を探るため、基礎データを収集する。
調査は、全国の中学校(二千十八校)と小学校(四千四百九十五校)、保育所(約四千二百カ所)を
無作為に抽出。調査票を配布し
(1)言葉の遅れ
(2)他人とのかかわり
(3)不登校
など、子どもの状態に応じた実数を把握する。医療機関への紹介や相談機関との連携についても
質問し、子どもがどのような経路で受診するのか調べる。
医療現場については、大学病院・小児科研修指定病院(五百六十五施設)を対象に診療、卒前教育、心理職など
医療スタッフの実態を調査する。
このほか、全国の小児病院(二十六施設)や病院精神科(二百八十一施設)、精神科診療所(約四千三百カ所)に
ついても診療実態を把握する。海外の専門医の研修プログラムも調査。米国のほか、英国、フランス三カ国の
最新の実態を把握する。
>> 中日新聞 2006/01/30[16:00] <<
http://www.chunichi.co.jp/00/sya/20060130/eve_____sya_____009.shtml