今冬のインフルエンザの流行で、国内で認可されている3種類の治療薬のうち、
アマンタジン(商品名シンメトレル)の効かないウイルスが広がっているらしいことが、
けいゆう病院(横浜市)の菅谷憲夫・小児科部長らの調査で分かった。
横浜市内で分離された24株のウイルスのうち、9割近い21株でアマンタジン耐性の
遺伝子変異が見つかったという。
菅谷さんらは、昨年12月〜今年1月に横浜市内の医療機関を受診した患者24人の
ウイルスを調べた。
A香港型だった18人では16人、Aソ連型だった6人では5人の計21人(87.5%)
から分離されたウイルスが耐性を示した。
これらの患者はアマンタジンの治療を受けていなかったという。
米疾病対策センター(CDC)は今月14日、米国で今冬分離されたA香港型ウイルスの
91%がアマンタジンとリマンタジン(一般名、日本では未承認)に耐性を示したとして、
今冬のインフルエンザでは処方しないよう警告を出した。
耐性を示す割合は2年前の1.9%、昨冬の14.5%から急増した。
菅谷さんは「日本でも同じような事態が起きている恐れがあり、早急に調べる必要がある」という。
アマンタジンは98年にインフルエンザ治療薬として国内で認可された。
残る2種類の治療薬オセルタミビル(商品名タミフル)とザナミビル(商品名リレンザ)は、
薬の働きが異なるため有効という。
[朝日新聞]2006年01月26日08時55分
http://www.asahi.com/life/update/0126/002.html