法務省は来年春から、来日した外国人ダンサーや歌手などの人身売買を
防ぐため、雇い主に対する審査を厳格化する。
業者が基準を下回る報酬しか払わなかったり、業者の中に暴力団関係者
がいたりする場合は、雇用を許可しない。年明けに出入国管理・難民認定法
に関する法務省令を改正する。
芸能活動を目的に来日した外国人については、本人に代わって「興行ビザ」
を申請する「プロモーター」と呼ばれる業者や、劇場などの業者が、興行ビザ
が認めていないホステス業に従事させたり、安い報酬で働かせたあげくに
売春婦として売買する例が後を絶たない。また、現在は、基準以下の報酬に
関する罰則がない。
このため法務省は、人身売買の根絶には、業者と外国人が厳密な雇用契約
を結ぶことが必要と判断した。
省令改正案によると、業者が外国人と雇用契約をする際、国が定めた
月20万円の最低報酬額を下回らないことを契約書に明記させる。業者が
過去3年間に基準以下の報酬しか払っていない場合や、業者の中に暴力
団関係者や、過去5年間に外国人の不法就労に関与した者がいたりする
場合は、新たな外国人の雇用を許可しないことにする。
一方、国や自治体が招へいした演劇などに外国人が出演する場合に
ついては、逆に審査基準を緩和する。
興行ビザで来日した外国人は昨年、約13万5000人で、5年前の約1・6倍
に増加した。フィリピン人が全体の6割強を占めている。
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20051210i103.htm