自分の能力を発揮できる仕事をしたい。でも科学者にはなりたくない――。
「理科が大好き」な中学生の中で、こう考える子が男子で6割、女子で8割も
いることが神戸大の小川正賢教授(科学教育)の分析でわかった。
世界の研究者が02年から44カ国・地域の15歳4万人余りを対象に進めている
「科学教育の内容と日常生活との関連性調査(ROSE)」のうち、小川教授らが
03年に実施した国内の中学3年生560人分のデータを分析した。
その結果、理科については「面白くて他の教科より好き」が33%、
「面白いがもっと好きな教科がある」が32%、「面白くなく嫌い」が
33%と三分された。
このうち、「面白くて他の教科より好き」と答えたグループに職業を選ぶ観点を尋ねると、
「能力や才能を発揮できる仕事をしたい」が92%、「重要で意味があると考える
仕事をしたい」が87%。さらに「科学は社会にとって重要」との回答も87%にのぼった。
ところが、「科学者になりたい」との回答はわずか34%(男子44%、女子19%)。
男子の56%、女子の81%は「なりたくない」と答え、前者の回答との食い違いが目立った。
ROSEの予備調査で各国の子どもたちに科学者の絵を描いてもらったところ、
日本の子どもはマニアックで暗いイメージの科学者を描く傾向が強かった。
小川教授は「科学者が身の回りで普通に生活している現実味のある存在として
見えていないからではないか」と話している。
http://www.asahi.com/kansai/news/OSK200512090041.html