>>215の続き
場所:麺子のアパート
麺子は少年を散らかった部屋に上げ、とりあえず風呂場を案内した。
「とりあえずシャワー浴びろ」
その間、ドライヤーで少年の服を乾かす麺子。
風呂から上がった少年に適当に自分のジャージを着せ、
部屋の隅に転がっていたカップラーメンを手に取り、お湯を沸かしてそれを少年に食べさせる。
「で、名前はなんつうんだ?」
「……」
「言いたくないんならイイけどさ」
麺子自身、過去に家出の経験があったため、少年の気持ちがわからなくもなかった。
少年は怯えているのか、あまり口を開かない。
それを察した麺子は黙って、ドライヤーで服を乾かし続ける。
警察に通報した方がいいのか考えるが、
警察沙汰になったら少年が少しかわいそうだ。
麺子なりに色々考えた結果、
何とか少年が家に帰るように、自分の経験を含めつつやんわりと説得を始めた。
「親はうるせーけどよ、やっぱりいないと寂しいぞ」
「今頃心配してっぞ」
しばらくして少年が口を開いた。
「わかった、帰る…」
「お、帰る気になったか!家どこだ、電話して親に迎えきてもらうか?」
「ううん、イイ。ひとりで帰れる」
「つったって…家どこだよ!?」
「岡谷。歩いて帰れるよ」
「…大丈夫か?」
こんな時間だしひとりで帰すのは…と思ったものの、
気が変わってもいけないと思った麺子は、
「じゃあさっきのところまで送ってやるからよ」と立ち上がった。
「ほら、服だいたい乾いたぞ」
<つづく>