「教科書問題」が一時期、世間を騒がせた。これはまず教科書の内容
が問題となった。内容は教育委員会が決めて、文部科学省は検査だけ
する。その検査に合格すれば、あとは各地の教育委員会が採用する。
しかし、チェックが機能しないままに50年も経つと、あちこちおかしくなってくる。
そこで、評論家の西尾幹二さんら「新しい歴史教科書をつくる会」が、
“これなら偏りがない”という新しい教科書を作って出版した。その教科書
には多くの人が共感したが、教育の現場には採用されていない。
(中略)
これを根本的に直すには、教科書を国が買い上げて、無料で子供に
渡すというシステムをやめればいい。私たちの世代が子どもの頃、教科書
は買うものだった。先生に「来年の教科書はこれとこれだから、明日85銭
持ってきなさい」などと言われたものだ。85銭といっても、当時はうどん1杯が
7銭の時代だから、かなりの金額だ。家で親が「教科書を買わなきゃいけない」
とヒソヒソ相談している。それを聞いた子どもは「勉強しなくちゃいけない」と思う。
「親が買ってくれた教科書だから、隅から隅まで読まなきゃいけない」と思うのだ。
それが今は、学校がタダでくれるのだから、ありがたみがない。やはり
親がお金を払ったほうが、親の権威がつく。子どもも親に対して、ありがたい
と思う。わが家のお金だと思えば粗末にしなくなるだろう。それに、教科書会社
のビジネスがどうのという話もなくなるはずだ。それから、文部科学省に
対しては、親が文句をいうようになるだろう。「こんなもの買わせやがって」と。
今はタダだから、文句をいわない。
だから、教科書を国が買い上げていることが、教科書問題の諸悪の
根源だと思う。国や教育委員会が教科書採用権を独占していることと、
無料で配っていることがいけない。でも、今のところそういう議論は出て
こない。10年以上前は出ていたが、今は誰もいわなくなってしまった。
(以下略、全文はソース元でご確認ください)
ソース(日経BP・SAFETY JAPAN 2005)
http://nikkeibp.jp/sj2005/column/p/07/index.html http://nikkeibp.jp/sj2005/column/p/07/02.html http://nikkeibp.jp/sj2005/column/p/07/03.html