米ピープル誌が選ぶ「最もセクシーな男性」で、米国外の男性の一人として渡辺謙さんが
選ばれた。説明するまでもなくハリウッド映画「ラスト・サムライ」で準主役を演じた俳優だ。
特に大ファンというわけでもないのだが妙に誇らしい。
▼数年前まで日本人男性をセックスアピールがない、自己主張が下手とこき下ろしていた
米国人女性の友人も、最近は日本の男は神秘的でクールと言う。身長一八四センチの
渡辺さんが標準的日本人より相当容姿に恵まれていることは確かだが、フェロモンぷん
ぷんとはまた違う、日本男児の抑制された色気が欧米女性にも理解され始めたということ
なのでは。
▼渡辺さんについて同誌は「ハリウッドの人間らしくない」「成功を自慢しようとしない」と評し
渡辺さん自身も「気取らないことが重要」と言う。そういえば、一昨年に番外で「セクシーな
男」に選ばれたヤンキースの松井秀喜選手も謙虚な人となりが印象的だ。
▼ともに、やや古風な言動がサムライのイメージと重なる。あの映画が武士道を正しく世界
に発信できたかは別としても、日本の伝統的な男性の美学への理解を深めるのに一役
は買ったかもしれぬ。
▼自分の欲望や我を抑え、信念と情熱を内に秘める成熟したたたずまいと強さは、へたな
自己主張や露出度の高いファッションよりよほど存在感と説得力をもつ。これがセクシーと
いう異性からの最大の賛辞を、海外からも得たのだろうと思う。
▼残念ながら性差を否定する一方で、欲望に寛容すぎるジェンダーフリーが蔓延する昨今
の教育では、こういう魅力は育ちにくい。いっそのこと、性教育の時間は「武士道」の道徳
観を教えてはどうか。その方が国際社会に通用する人間が育つ気がする。
産経:
http://www.sankei.co.jp/news/column.htm