★牛の病気、植物性甘味料で効果アリ
県立淡路農業技術センター(南あわじ市八木養宜中)と神戸大学農学部は、乳牛の病気である
慢性乳房炎に対して、植物性甘味料「ステビア」を投与すると症状が改善する効果があるとの
研究成果を発表した。7月からはステビアを使った混合飼料が発売され、全国的にステビアを
採り入れる酪農家が増えつつあるという。
同センターによると、乳房炎は細菌が感染して生じる病気で、急性のものは抗生物質などで
治療できるが、慢性化した場合は効果的な治療法がなかった。良好な乳質を維持するため、
酪農家は慢性乳房炎にかかった牛の乳を廃棄せざるを得ない状況が続いているという。
ステビアは、南米パラグアイ原産のキク科の多年生植物。「免疫草」とも呼ばれ、抗酸化作用や
殺菌力、免疫活性化作用がある。医療分野のほか、農業分野では土壌改良材として使われているという。
乳牛を使った試験は、昨年12月から今年2月にかけて実施した。慢性乳房炎にかかっている
乳牛20頭に対し、ステビアを抽出した「ステビア抽出発酵エキス」100ミリリットルを
水で2倍に薄め、3日間連続して飲ませた。
その結果、乳房炎のために増加していた乳汁中の体細胞数が、15頭で大幅に低減。
簡易乳房検査の反応も改善された。乳量や乳成分に悪影響はなかった。神戸大による
細菌検査でも、乳房炎の原因菌の減少や消失が確認されたという。
この成果を受けて、同センターは5月、ステビア発酵液の投与方法を特許として出願した。
7月には、牛用混合飼料としての許認可が下りたため、「ステビア抽出発酵エキス」を輸入していた
広島市の化粧品会社が商品化した。
同センターの生田健太郎主任研究員は「今後も酪農家の研修会などでステビアの効果や
使用方法を説明して、普及に努めたい」と話している。
朝日新聞
http://mytown.asahi.com/hyogo/news01.asp?kiji=11069