・神戸市、具体策作成へ
神戸市は、高齢者への暴行や介護放棄などを防ぐ「高齢者虐待防止マニュアル」の
作成を進めている。県が昨年行った調査で市内で約400件の虐待があり、うち1割
近くが生命への危険性もあったことが判明。しかし、虐待が疑われる場合でも、介護
の現場では「家庭の問題」と受け止められるなどして踏み込めないケースがあるとい
う。市はケアマネジャーや医師らのネットワークを発足させ、マニュアルの中身を検
討しており、今年度末までの完成を目指す。
県は昨年7月から8月にかけて、在宅介護事業所を対象に初めて実態を調査。県全
体の虐待された人の平均年齢は81歳で女性が8割以上を占め、加害者は息子が3
割、配偶者が2割。虐待の種類では「身体的虐待」「介護・世話の放棄」「心理的虐
待」がいずれも4割前後あったという。
これとは別に、各区役所に寄せられる相談の中には、同じ姿勢で寝たままにさせた
り、「死んでしまえ」「食べさせるだけムダ」などの罵声(ばせい)を浴びせたりす
る事例があり、親の年金で生活しているにもかかわらず、食事を与えないケースも
あった。
虐待の要因は介護によるストレスが多く、ホームヘルパーらは虐待を見つけた場
合、介護施設の利用などで負担を減らすよう助言している。一方、「家族間のトラブ
ルに介入すべきでない」「契約上、守秘義務があり、相談できない」などと判断し
て、対応が遅れることもあるという。
このため、市は今月から、各区役所ごとにケアマネジャーやホームヘルパー、医師
らでつくる「虐待防止のネットワーク委員会」を発足。弁護士や学識経験者の意見を
聞きながら過去の事例を分析し、虐待を見聞きした場合の対応法などを定めたマニュ
アル作りに取り組んでいる。
市高齢福祉課は「虐待を見過ごすことのないよう具体的な対応法を定め、防止に努
めたい」としている
(2005年9月22日)
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/hyogo/news001.htm