在外選挙権訴訟、あす最高裁判決…「違憲」の可能性も
海外に住む日本人の選挙権が公職選挙法の規定で制限されているのは、「普通選挙の保障」などを定めた憲法に反するとして、
在外邦人らが国を相手取り、選挙権があることの確認や損害賠償を求めた訴訟の上告審判決が14日、最高裁大法廷(裁判長・町田顕長官)で言い渡される。
1、2審はいずれも請求を退けたが、これまでの最高裁の審理経過などから、大法廷は公選法の規定を違憲と判断する可能性が高まっている。
在外邦人の有権者数は推定約72万人(昨年10月現在)に上るだけに、判決が注目される。
法律が違憲と判断された場合、最高裁としては、2002年の郵便法の規定を巡る違憲判決以来、戦後7件目になる。
違憲の法律を改正しなかった立法不作為(怠慢)について国の賠償責任まで認めれば、最高裁では戦後初の判決となる。
訴えているのは、米国や英国などの在外邦人13人(2人は帰国)。従来は、選挙人名簿の登録資格について
、「国内の市町村に3か月以上住民登録している者」と定めた公選法の規定により、選挙権を全く行使できなかったため、1996年11月に提訴した。
その後、98年4月の公選法改正で衆参両院の比例選に限って在外投票制度が設けられたため、原告側は、
〈1〉選挙区選での選挙権の確認〈2〉1人当たり5万円の損害賠償――を求めている。国側は
「選挙区の候補者の情報を在外邦人に確実に伝えるのは困難で、選挙権の制限はやむを得ない」と主張している。
大法廷は、新たな憲法問題を含むケースや判例を変更する必要がある場合に開かれる。複数の法曹関係者は
「最初の回付で、在外邦人から選挙区選での選挙権を奪っている公選法の規定の合憲性が検討され、
『違憲』の結論に至ったため、賠償請求についても、判例変更の是非を含め大法廷で審理する必要が生じたのだろう」と指摘している。
11日に投開票が行われた衆院選でも、原告ら在外邦人は選挙区選に投票できなかった。違憲判決が出れば、
次の国政選挙までに法改正が迫られることになる。(中略
(2005年9月13日3時2分 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/main/news/20050913i101.htm