外来種ウチダザリガニ支笏湖に 道央初確認、営巣も ニホンザリガニ駆逐懸念 2005/09/09 10:56
道東にしか生息していなかった外来種のウチダザリガニが、徐々に生息域を広げている。
8月には道央で初めて、支笏湖で生息が確認された。生息地拡大は人為的な持ち込みの結果とみられるが、
ウチダザリガニは在来種のニホンザリガニに影響を与える病原菌を持っており、
専門家は「このままではニホンザリガニが駆逐されてしまう」と警告している。
ウチダザリガニは体長二〇センチ以上になる北米原産のザリガニ。
一九三○年(昭和五年)、食用として摩周湖に移植された。
その後、阿寒湖や釧路湿原などに分布を広げたが、生息地は長い間、道東に限られていた。
ところが八月、支笏湖畔でダイビングショップを営む小野寺昌道さん(58)が同湖で潜水中、
体長一五センチほどのウチダザリガニを見つけた。
支笏湖の潜水歴三十年の小野寺さんも目撃は初めて。
その後、二十匹以上の集団営巣地も見つかり、繁殖は確実になった。
小野寺さんは「湖の生態系を知らない誰かが放流したのだろう」と嘆く。
ザリガニ類の生態に詳しい道立旭川高等看護学院非常勤講師の斎藤和範さんによると、
五年前には道北の上川管内音威子府村でウチダザリガニの生息を確認。
千歳川や札幌市内の釣り堀でも、未確認の生息情報がある。
家庭で飼いきれなくなった個体などが放流され、分布を広げている可能性が高いという。
ウチダザリガニは「ザリガニペスト」という病原菌を保有していることが分かっている。
人間の食用には問題ないが、ニホンザリガニが感染すると死んでしまうという。
また大型のウチダザリガニは、体長が大きくても八センチ程度のニホンザリガニを捕食する。
屈斜路湖では既にニホンザリガニが見られなくなり、二○○一年には釧路湿原で大量死が見つかっている。
斎藤さんは「支笏湖のニホンザリガニにも大きな影響があるだろう」と推測。
「ウチダザリガニの放流を禁ずる策を早く講じないと、
道内のニホンザリガニは絶滅してしまう」と訴えている。(編集委員 松浦真一)
http://www.hokkaido-np.co.jp/Php/kiji.php3?&d=20050909&j=0030&k=200509096279