開腹せずに卵巣を手術する安全な方法を、金大附属病院産婦人科グループが考案し、
学会で発表した。 卵巣が腫れる卵巣嚢腫 (のうしゅ) の病巣を膣から取り出す
ため、目に見える腹部には傷あとが残らない。 膣の奥深くを切る難しい手術だが、
特殊な風船で経路を広げる器具を使うことにより、安全性が格段に高められた。
この手術は金大の井上正樹教授の下、田中政彰講師や、佐川クリニック (金沢市)
の佐川哲生院長が実施している。 超音波検査で腸や子宮の位置を確認しながら、
膣の奥から子宮と腸の間に器具を刺し入れる。 器具に付属した風船を広げることで、
手術のための経路を拡張する。 風船が付いた器具はもともと、腹から腎臓に器具を
刺し込む用途で使用されてきた。
卵巣嚢腫の手術は、現在では約 9割が腹腔鏡を使って行われるようになり、腹部に
1〜2センチの小さな穴を 3カ所開けるだけで済むようになった。 だが、傷あとは
小さいながらも完全に消えるわけではなく、傷あとが残らない膣を経由した手術が
女性から求められている。 田中講師は 「患者にとって、おなかに傷が残らない
手術の方がいいはず。 この手術は必ず普及すると思われる」 と話している。
【ソース】 北國新聞
http://www.hokkoku.co.jp/_today/H20050817003.htm