2005年07月10日18時48分
山梨県富士河口湖町の土産品店で「河口湖特産」として売られている真珠製品が、実は茨城県
で養殖・加工した真珠であることがわかった。産地を偽った真珠を扱っていたのは同町が全額出
資する財団法人の直営店で、小佐野常夫町長が財団の理事長を務める。小佐野町長は不当表示を
認め、「表示方法には気をつけるよう指導していたが、現場の認識が甘かった。真珠販売をやめ
ることも検討する」と話している。
この財団は「富士河口湖ふるさと振興財団」で、地域特産品の開発と普及などを目的に90年
に設立された。
財団の説明などによると、財団は03年から直営の土産店で、茨城県の霞ケ浦で養殖・加工し
た真珠のピアスやネックレスなどを「河口湖特産」と偽って売っていた。
真珠は茨城県の業者から財団が仕入れて店に出していた。
これとは別に財団が実際に磨くなど加工した真珠製品もあった。これらの多くは茨城の養殖業
者が約5年間育てた貝を河口湖漁協が河口湖で1〜2年育てた品という。
財団は土産物店の店内にポスターを張るなどして「河口湖特産」を積極的に宣伝し、真珠製品
の売り上げは昨年度、約750万円に上った。
淡水真珠は通常、イケチョウガイに真珠となる膜を移植し、3年養殖すれば収穫できる。5年
以上育てれば大粒になる可能性が高い。
河口湖漁協は00年に試験養殖を始め、04年1月に県の許可を得たが、04年度の生産実績
はほとんどなかった。
元公正取引委員会委員の伊従寛弁護士は「茨城の真珠製品を河口湖特産とするのは景品表示法
違反(不当表示)の疑いがある。生育場所などを明らかにしないで特産とするのも問題があるの
ではないか」と指摘する。
水産庁によると、淡水真珠の年間生産額は02年で約8億円。養殖は滋賀県の琵琶湖と茨城県
の霞ケ浦以外ではほとんど行われていない。
朝日新聞:
http://www.asahi.com/national/update/0710/TKY200507090368.html