人身売買や密入国対策、テロの未然防止などのため、政府が今国会に提出する刑法改正案や
出入国管理・難民認定法改正案などの全容が17日、明らかになった。
日本政府が持つ密入国に関する情報などを国際的な犯罪捜査に活用するため、外国政府に対し
出入国管理情報を提供できるようにする規定を新設する。人身取引の定義を明文化し、
被害者を強制送還などの対象から外すなどの保護策を規定するほか、刑法に人身売買罪を創設する。
25日の閣議で決定する予定だ。
外国政府への入管情報提供は、外国の入管当局が入管難民行政に必要な情報を求めてきた場合、
法相の判断で提供することができるようにする。具体的には密入国や不法滞在のブローカーなどの
情報を想定しており、提供方法は当該2国間で協議する。これにより、2国間で悪質なブローカーなどの
情報を交換することが可能になる。また、相手国が提供情報を刑事事件捜査や裁判に活用することも
法相が同意できる。
人身売買対策としては、人身取引の定義を「営利、わいせつ、生命・身体への加害目的で人を
略取、誘拐、売買し、それらの者を引き渡したり輸送することなど」と入管難民法に明記する。
人身売買に関与した者を強制送還の対象とし、被害者については、強制退去の対象から除外する。
今回の法改正は、国際組織犯罪防止条約に付属した「人身取引議定書」と「密入国議定書」を
批准するため、必要な国内法整備を行うことが主な目的だ。「日本は人身売買に甘い」との国際的批判を
払しょくする狙いもある。
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20050218i301.htm