★「ピカチュウ」「プーさん」夜の水戸駅に佇む 着ぐるみの中 若者の孤独感
高1少女…朝6時“帰宅”も無関心な父と母
・アニメキャラの「ピカチュウ」や「くまのプーさん」、それにトラや牛…。
JR水戸駅周辺に、着ぐるみを着た奇妙な格好の若者たちが夜な夜な出没
している。階段やコンビニの前に座って時間をつぶす彼ら、彼女ら。ピカチュウの
着ぐるみを着た少女に話を聞くと、派手な着ぐるみとは対照的に、居場所を失った
孤独感が浮かび上がった。
黄色に茶のしまの入った着ぐるみを着た夏海(15)=仮名=は、すっかり薄暗く
なった水戸駅南口のベンチに友達と二人で座っていた。
夏海は高校一年生。水戸市の自宅から隣町の県立高校に通う。何でそんな格好を
するの? と聞くと、「好きだから」と幼児のような甘ったるい返事が返ってきた。
放課後、週に二、三回、駅周辺でこの格好で遊んでいるという。
「朝、六時ぐらいまで家に帰らないこともあるかな」。当然、学校は休みがちだ。
少女向けファッション雑誌によると、着ぐるみを着る若者は東京・渋谷が発祥。
今年の春から流行した奇異な格好を雑誌やテレビが取り上げ、地方へ広がった
という。今では本家渋谷では絶滅寸前というが、水戸のような地方都市で根強く
残っている。
自動販売機わきで話を聞いていると、車高の低い、派手な紫色に塗装した車が
近づいてきた。運転席と後部座席に髪を染めた若い男性が、助手席には夏海の
友達という少女が乗っていた。
「何してんの?」 「取材受けてんの」
それだけ言葉を交わすと、後部座席の男性が止まったついでにごみを道端に
捨て、車は走り去った。夏海は彼らと遊ぶことが多いという。
水戸駅に来る前に一度帰宅する。父も母も着ぐるみについて何も言わず、
帰りが遅くてもとがめられることはない。学校で着ぐるみのことを知っている
友達は少数。もちろん先生は知らない。(一部略)
http://www.sankei.co.jp/edit/kenban/ibaraki/html/kiji01.html