★ハンセン病問題検証会議 菊池恵楓園で聞き取り調査
隔離政策の真相究明のため、菊池郡合志町の国立ハンセン病療養所・菊池恵楓園で
検証作業を進めている「ハンセン病問題検証会議」(座長=金平輝子・元東京都副知事、
十三人)は十六日、県内で起きた差別事件の関係者から聞き取り調査を行った。
殺人罪に問われた元患者の男性が無実を訴えながら死刑になった「藤本事件」では、
同園入所者の志村康さん(71)と当時の教戒師、坂本克明さん(71)が、男性の
収監時の様子や裁判が非公開で行われたことなどを証言。委員からは「明らかな憲法
違反の裁判で、死刑の手続きも異例。真相を究明すべきだ」との意見が出た。
また患者を親に持つ龍田寮の子供らが、小学校通学を拒否された「黒髪校事件」では、
当時の保育士二人が龍田寮閉鎖後の子供らの苦労を、涙ながらに語った。
昨年の宿泊拒否事件では、同園の自治会役員、杉野かほるさん(73)が入所者を
中傷する手紙や電話が相次いだことを紹介。啓発の在り方やマスコミの報道について
意見が交わされた。
聞き取りに先立ち、ハンセン病救済事業に生涯をささげたハンナ・リデル、エダ・ライト
両女史の足跡を紹介した熊本市黒髪の記念館や、恵楓園に隣接して設置された国内
唯一のハンセン病患者専用刑務所「菊池医療刑務支所」(一九九七年廃止)も見学した。
二日間の検証を終え、同園自治会の太田明会長は「宿泊拒否事件も検証テーマに
取り上げてもらい、中身の濃い会議となった。今後の作業に期待したい」と話した。
最終日の十七日は、同市島崎の私立ハンセン病療養所・待労院などを訪ねる。
熊本日日新聞
http://kumanichi.com/news/local/main/200406/20040616000389.htm