★薬害肝炎、心の叫び…意見陳述集まとめる
血液製剤の投与でC型肝炎ウイルス(HCV)に感染したとして、患者が国と
製薬会社に損害賠償を求めた「薬害肝炎訴訟」で、原告の心の叫びをつづった
意見陳述集を、弁護団がまとめた。
患者は肝硬変や肝臓がんの不安を抱えながら、苦悩の日々を送る。
「一刻も早く被害者救済を」と、弁護団は全国5地裁の訴訟で証拠として提出、
医療機関にも配る。
訴訟は、東京や大阪、名古屋などの地裁で争われており、原告は計72人。
陳述集には35人の手記などを収めた。うち、実名を公表しているのは4人。
讀賣新聞
http://www.yomiuri.co.jp/main/news/20040427it05.htm ◆薬害肝炎訴訟弁護団全国ホームページ
http://hcv.jp/ >>1の記事の続き
東京訴訟の女性は、十数年前、第1子の出産時に投与された濃縮血液製剤「フィブリノゲン」
で感染。裁判に参加する決意を家族に伝えた際、子供に言われた。「僕が生まれて来なければ、
お母さんは病気にならなかったんだね」。胸が締め付けられる思いがした。
さらに、医師から「母子感染の可能性はほとんどない。安心して産んで大丈夫」と言われて
出産した第2子は母子感染した。まだ、その子には感染の事実を伝えられないでいる。
大阪訴訟の女性は第1子を出産した際、止血剤としてフィブリノゲンを投与され、第2子の
娘が感染した。娘の小学校入学時、病気のことを教師に告げた。けがをしたとき、子供が
自分で処置できるかとの教師の質問に差別を感じ、帰宅後、涙が止まらなかった。
大阪訴訟の男性は18歳。出生時の出血治療で感染。今年4月から大学に進学、一人暮らしを
始めたが、誰にも打ち明けられない。交際している彼女に「特別な病気なの」と通院の理由を
聞かれたことがある。「心が凍り付いた。僕から離れて行ってしまうかも知れない怖さから、
うそを言ってしのいだ」
大阪訴訟の別の女性は、高額な治療費のため、自宅を手放さざるを得なかった。やがて離婚。
仕事を始めたが、病気を知られるのが怖く、健康診断のたびに転職してきた。福岡訴訟の女性は
「あなたたちは、同じ製剤を、愛する家族に打つことができますか」と、国や製薬会社に問いかけた。
陳述集はA4判、85ページ。
この訴訟は、原告が計約43億円の損害賠償を求め、国や製薬会社は、投与と感染の因果関係は
はっきりしないとし、「原告が薬剤を投与された1980年代に、感染の危険性は明らかになって
いなかった」と責任を否定している。