CD―Rで遺伝子解析 藤本静岡大教授ら開発
http://www.shizushin.com/area21/area21_2004021312.html 静岡大イノベーション共同研究センター(浜松市城北)の藤本正之教授と徳島大の馬場嘉信教授らのグループが、
光追記録ディスク(CD―R)によるDNA(遺伝子)解析装置の開発に世界で初めて成功し、十二日に同大で記者発
表した。CD―R一枚でDNAの検出、解析、データ記録を一手に行うシステム。実用化されれば、ディスクドライブを
接続したパソコンで手軽に解析が行えるようになるという。
ディスクの外周部には半透明樹脂ポリカーボネイト製の「DNA解析領域」があり、内周部には三センチ幅の「記録
層」がある。「解析領域」には複数の穴と非常に細かい溝が並び、DNAの検体を溝に流し、電圧を通してDNAやタン
パク質を分子量別に仕分けする「電気泳動分離」を行う。分離後、レーザーで発光させたDNAの構成分子を読み取
ってデータ化し、「記録層」に保存する。
従来は高価なマイクロチップを特殊な解析装置にかけて電気泳動分離を行い、市販のCD―Rに記録していた。一
連の作業を一枚のディスクに集約し、統一規格のドライブで読み込めるようになれば、五百万円前後かかる解析の経
費が数万円単位で収まる見込み。
データの読み込みにはCCDカメラを内蔵し、電圧を高める処理を施したディスクドライブが必要で、藤本教授らのグ
ループは大手電機メーカーと提携して二、三年以内に開発する考え。家電レベルで市販されれば、バイオテクノロジー
の一般化が加速しそうだ。
藤本教授は、「食の安全が叫ばれる中、食品流通関係者が注目するのでは」と話し、DNA検査による食肉や農作物
の生産履歴管理、畜産の感染症分析など幅広い分野への応用に期待を込める。