東京工業大学とアジア航測の研究グループは28日、イラン南東部で昨年12月26日に発生した
地震で、地震前後の衛星写真を駆使して、倒壊した家屋などの被災状況を短時間で地図上に表示
することに成功したと、発表した。
地震発生直後に、被災状況を把握する有効な技術で、救援救助や避難誘導などに役立つと期待される。
研究グループは、米国の高性能観測衛星「クイックバード」(分解能60センチ)が、今回の地震で
壊滅的な被害を受けたバム市を、昨年9月30日と、震災後の1月3日に撮影した画像を活用した。
双方の映像をコンピューターで比較し、地震前後にどの家屋が変化したかを瞬時に識別し、地図上に
色つきで表示するシステムを開発した。
検証のため、バム市中心街の600メートル四方の実際の被災状況を調べ、このシステムと比べたところ、
一致率は9割を超えていた。肉眼で被災状況を判読するには6時間かかったが、このシステムではわずか
11秒で判読できた。バム市全域(東西5・4キロ、南北4・2キロ)の被災状況も、約30秒で判読できるという。
阪神大震災の時は、航空写真を基に被災状況を分析するのに、約10日間要したとされる。
研究グループの東工大大学院の小杉幸夫教授は、「衛星写真だけでなく、航空写真の画像でも、被災状況を
読みとる事が可能。わが国の防災対策にも有効だと思う」としている。
(読売新聞)[1月28日11時16分更新]
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20040128-00000503-yom-soci