★足寄で世界最古のアカボウクジラ化石 記録200万年さかのぼる
【足寄】十勝管内足寄町で2000年に発掘された化石が、歯クジラ亜目アカボウ
クジラ科のクジラとしては、世界最古の2500万年前の頭骨であることが16日までに、
分かった。これまで同科の化石は、米・ワシントン州で発掘された前期中新世(2300
万年前~1500万年前)のものが最古。足寄での発見はこれを少なくとも200万年
さかのぼる可能性がある。調査を進めている足寄動物化石博物館は来年1月下旬に
熊本県で開かれる日本古生物学会で報告する。
アカボウクジラ科の化石は国内で4例の発見があるが、時代は1600万年前から
1100万年前。2500万年前はクジラの進化のうえで未解明の時代とされ、研究者らは
「その時代の解明に光を当てる発見」と注目している。
今回の化石は、同博物館の沢村寛館長が、同町内の茂螺湾(もらわん)川右岸で発見。
同博物館が出土地層などを放射年代測定法で測定した結果、2500万年前のものと
特定された。化石は頭部で、鼻骨を中心に上あごと前頭骨など。後頭部から口の
先端までは37センチあり、体長4~5メートルと推定される。
沢村館長によると、鼻骨が大きいのに加え、頭頂部付近が鶏のとさかのように隆起している
特徴などから、アカボウクジラ科のクジラであると断定。見つかった化石は鼻骨の位置など
骨の特長が、同科に属する現在のツチクジラとほとんど変わらないという。
クジラは進化の過程で、呼吸をしやすくするために鼻の位置を顔の先端から頭頂部付近に
後退させたが、今回の化石の鼻骨は頭頂部にあり、最も進化した姿とみられる。
沢村館長は「2500万年前にすでに現在の種類が存在していた」とみている。
北海道新聞
http://www.hokkaido-np.co.jp/Php/kiji.php3?&d=20031217&j=0046&k=200312171596