★牛肉処分事業、20億円過大見積もり 検査院指摘で減額
牛海綿状脳症(BSE)対策で牛肉を焼却処分する事業をめぐり、農林水産省が牛肉の
買い取り価格を総額で20億円も過大に見積もっていたことがわかった。同省は会計検査院の
2度にわたる指摘を受け、この価格を6段階に分類するなど厳密にした。その結果、今年
8月に交付した補助金総額は当初の価格単価で想定されたより20億円安い153億円で
済んだ。検査院が事前に指摘して無駄な支出を防いだケースは異例だという。
BSE感染牛は01年9月、国内で初めて見つかった。相次ぐ発生を受けて、同省は同年
12月に焼却処分事業を始めた。この事業は農畜産業振興事業団(当時)が業界団体を通じて
行い、国庫補助金を出すものだった。
事業にあたり、農水省は買い取り価格について、BSE発生前1年間の平均価格をもとに
1キロあたり1554円と設定。雪印食品や日本ハムグループなどの牛肉偽装事件で申請が
取り下げられた分などを除いて、最終的に買い取りが適正と判断された牛肉1万1128トンを
この価格で一律に購入すれば、約173億円かかるはずだった。
これに対し、検査院は「値段の高い和牛と乳用牛の価格が一緒なのはおかしい」と同省に
改善を求めた。指摘を受け、同省は02年3月から、在庫証明書をもとに和牛と乳用牛それぞれの
雄、雌、雌雄不明の計6段階に分け、価格設定も細分化した。
約半分の6000トン近くは在庫証明書に肉の種別が書かれておらず、判別できなかったため、
判明した残り約半分の平均単価をあてはめた。
その後、同省は牛肉偽装事件を踏まえ、02年4月、牛肉すべてを検査する「全箱検品」を始めた。
このため検査院は、肉の種類の判別は可能になったと判断し、未判明分についても「箱やラベルの
記入を読みとれば分類できる」と指摘。同省が今年3月までの検品で改めて分類し直したところ、
さらに買い取り価格を減額できたという。
朝日新聞
http://www.asahi.com/national/update/1025/019.html