【社会】盗まれた掛け軸、韓国では国宝級 精通したものの犯行か

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愛知県豊田市の「隣松寺」(木村貞賢住職)から2年前、韓国人グループに盗まれたとされる
「絹本著色観経曼荼羅(けんぽんちゃくしょくかんぎょうまんだら)」が、韓国では国宝クラスと
評価されていることが13日、わかった。日本では愛知県指定の重要文化財で、韓国での評価とは
大きな差がある。グループが韓国での文化財の価値に極めて精通していた可能性が高く、
捜査当局も注目している。

窃盗グループは兄弟を含む4人とされる。兵庫県加古川市の「鶴林寺」から昨年7月、掛け軸8幅
(うち7幅は国の重要文化財)を盗み、寺に買い戻させようとして足がつき、2人が兵庫県警捜査3課
などに逮捕、起訴された。弟の金正男被告(47)の供述から、「隣松寺」での窃盗容疑も発覚。
金被告の神戸地裁姫路支部での裁判は、今月25日に判決がある。

起訴状などによると、金被告は、逃走中の実兄(国際手配)らと01年9月、隣松寺から「絹本著色観経
曼荼羅」のほか掛け軸6幅を盗んだ。何を盗むかはすべて兄が決めていたという。
鶴林寺の掛け軸は7幅が戻ったが、最も貴重な「阿弥陀三尊像」は不明。隣松寺の曼荼羅と掛け軸も
すべて行方が分からず、国外に流出した可能性がある。

隣松寺の曼荼羅は中国・元時代(1271〜1368年)の末期の作との言い伝えで、もともとは京都の
寺にあった。80年に県が重文に指定した。しかし95年、韓国文化財庁・宮中遺物展示館の柳麻理・
展示課長(美術史)が寺を訪れて調べたところ、高麗時代末期の1323年に朝鮮半島で描かれた
「観経十六観変相図」と判明した。

「(朝鮮半島での)阿弥陀信仰の大衆化を知ることのできる代表的な例」との評価で、これを受け、
日本に渡った朝鮮半島の貴重な文化財を集めた「日本所在韓国仏書図録」(韓国文化財管理局
発行)に収録された。柳課長によると、韓国内で所蔵されていれば国宝指定はほぼ確実という。
柳課長は「盗まれたのは大変、残念だ。写真が残っているので、ぜひ探し出してほしい」と話している。

http://www.mainichi.co.jp/news/flash/shakai/20030914k0000m040116000c.html