【運行】万景峰号、新潟を出港。定期運航に戻る見通し

　五日新潟を予定通り出港していった北朝鮮貨客船「万景峰号」。
国による船舶安全性検査（PSC）をクリアしたことで、半年間はPSCフリーパスという
『お墨付き』を得た形だ。北朝鮮で暮す親族に生活物資を運ぶ
在日朝鮮人がいる一方、拉致被害者家族や多くの県民たちの同船に対する
不信と反発は一層高まるばかりだ。今後も新潟を舞台に「衝突」は続くのか？
　被害者家族連絡会（横田代表）は、拉致解決が進展しない中の北朝鮮籍船の入港には
反対の立場。前回と今回の入港時、家族は岸壁に立った。だが今後、十六、三十日と
続く入港のたびに全国から家族が新潟へ集まるのは、高齢者も多く、
体力的に大変苦しくなっているのが実情だ。
　とはいえ「次回以降、声を出さなかったら世論が薄らいだと北朝鮮に受け取られないだろうか」
と、横田代表は抗議活動継続に頭を悩ませる。「入港問題は、長年虜格な検査をしていなかったこと
が原因。入港規制に向けて国がもっと前面に出てほしい」と訴える。今回の入港をめぐる国
の対応に、関西大の李英和助教授は「日本の世論を確かめる狙いもあっ『拉致の怒りはこんなも
のか』とみられかねない」と警鐘を鳴らす。不正や疑惑の目が向けられてきた同船だが、
生活事情が厳しい北朝鮮の親族へ生活物資や資金を届ける役割があるのも事実。
乗船する在日朝鮮人は、窓口役の在日本朝鮮人総連合会（総連）がセットした会見で
「祖国と日本を結ぶ唯一の航路」「金正日将軍を心から信頼している」と語った。
　

だが総連関係者がいない場で、
ある乗船客は「生活品を届けるために乗らざるを得ないだけ。身内の暮らしを思うと
私だって（金体制は）許せないが、言えない。それなのに日本の右翼から一等声を浴びせられる」
　ただ、李助教授は「親族訪問は必要だが、万景峰号は必要ない。飛行機がある」と強調。
ロシアや中国経由の空路でも「生活品やお金を手渡すくらいは可能。
船が止まって困るのは指導層と軍だけだ」と指摘している。

　配慮なら逆効果　重村智計・拓殖大教授の話　
国内向けに厳格姿勢をアピールしたが、本質的には無難に出港させたな、との印象を持った。
拉致問題を扱う次の日朝協議を控えているなどの理由で配慮したつもりなら逆の結果を招く。

　在日も犠牲者だ　高柳俊男・法政大教授の話　
拉致被害者も、親族訪問せざる得ない在日も、ともに犠牲者だ。両者
の対立が深まる現状は悲しすぎる。北朝鮮の現体制七、一般の在日たちと
は分はて考えるべきだ。