★国内初エイズ予防学センター設立へ 京大教授ら来春にも
先進国で唯一、エイズウイルス(HIV)感染者が増えている日本に、予防対策の拠点となる
「エイズ予防学研究センター」を設立する動きが進んでいる。大学教授らが中心になり、医学
だけでなく社会学や心理学、教育学も含めた学際的な「エイズ予防学」を確立し、効果的な
予防対策を考えていく。来春にも設立する予定で、国内初の「エイズ予防」を専門とした研究
機関になる。
設立の中心となるのは京都大大学院医学研究科の木原正博教授(国際保健学)と妻の
木原雅子助教授(同)。国内にエイズの臨床や基礎研究の機関はあるが、欧米のように予防を
主目的とした組織はなかった。そのため木原教授らは民間主導でのセンター設立を構想。
一般からの寄付が約2000万円集まり、これを資金に、国内外の研究者を数十人規模の
ネットワークで結んでスタートする。
センターの活動の柱は(1)日本の文化に適した予防モデルの構築(2)国内外の予防対策
専門家の養成(3)疫学情報の収集・発信――の三つ。
例えば「エイズの知識があってもコンドームを使わない若者が多い」という状況の背景には
「使うのは軟弱」という風潮や、「未成年者へのコンドーム奨励」に否定的な考え方もある。
こうした社会状況を勘案しながら効果的な予防教育のあり方を考える。
木原教授は「啓発パンフレットやイベントだけでなく、若者のニーズに合った科学的な予防
対策が必要」と話す。
国内のHIV新規感染者数は増加傾向にあり、95年の277人が02年には614人に倍増した。
特に10〜20代の割合が増えており、予防教育の必要性が指摘されている。 (08/18 08:00)
朝日新聞
http://www.asahi.com/national/update/0818/002.html