★バカの壁:発売4カ月で100万部超える
鋭い社会批評で知られる解剖学者、養老孟司さん(66)の新潮新書「バカの壁」が5日、
発売から約4カ月で100万部を超えた。最も早く“100万の壁”を超えた新書は半年で
大台に乗せた岩波新書「大往生」(94年、永六輔著)とされてきた。厳しい出版不況の中、
それを上回るハイペースだ。
「バカの壁」は今年4月10日に創刊された新潮新書の創刊10点の1点。養老さんが
これまでに書いたり講演で語ったことを、改めて編集者に独り語りして作った。
バカの壁とは「自分が知りたくないことについて自主的に情報を遮断」してしまうことを指す。
「自分の脳が理解できる限界」という意味だ。例としてイスラエルとアラブの関係、父親の
説教の効き目など。これまでの常識や慣例に切り込み、それを平易に説いている。
100万部は、最古の岩波新書(1938年創刊)でも、これまで出した約2350点のうち、
「大往生」(約222万部)、「日本語練習帳」(大野晋著、約181万部)など7点、中公
新書では「『超』整理法」(野口悠紀雄著、約100万部)の1点、講談社現代新書も2点だけ。
新書は現在、約20社から毎年約1200点が出ているが、発売から半年で5万部に達すると
ベストセラーといわれる。
新潮新書編集部の三重博一編集長は「混迷する社会での生き方、考え方のヒントをはじめ、
奥行きがある養老哲学を敷居を低くして提示したのが人気の理由だと思う」と話している。
毎日新聞
http://www.mainichi.co.jp/news/flash/shakai/20030806k0000m040136000c.html