道後温泉本館 初の全面改修 11年かけ営業しながら
開館から1世紀余 松山市修復検討委決定
開館から1世紀余りたつ松山市の観光シンボル・道後温泉本館(重文)が、
初めて全面改修されることが14日開かれた学識経験者らでつくる市の
「道後温泉本館保存修復計画検討委員会」(会長、犬伏武彦・松山東雲短大教授)で決まった。
大改修は2007年にも始まり、11年間かかる見込みで、観光客の減少を避けるため、
工事期間中も営業を続けることを申し合わせた。
本館は、一八九四年の開館で、四棟からなる。明治の文豪夏目漱石が通ったともされ、
松山市を舞台にした作品から“坊っちゃん湯”として親しまれている。観光客は本館だけで
年間九十二万人が訪れている。
施設はこれまで部分的な修復しか行われておらず、壁の亀裂のほか、
柱のシロアリ被害や傾きが目立っている。委員会は今後、百年間営業するには
大規模改修が必要と判断した。しかし、工事は全館を閉めても約八年間が見込まれるという。
観光の中心施設だけに、地元観光業者らからは「観光客が遠のいてしまう」と心配する
声が上がっており、委員会では、厳しい不況にあえぐ周辺の観光業者らに配慮し、
工事中も部分的な閉館にとどめることにした。
また、犬伏会長は「〈見せる修復工事〉が出来るなら、逆に観光客を呼び込むチャンスになる」と
意気込んでおり、人気を維持するため、工事を逆手に取って文化財修復の現場公開などの
PRも行うなど魅力作りも検討する。
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/ehime/news001.htm