運動機能が失われていく神経の難病、運動ニューロン疾患(MND)で長年苦しんできた
英国人男性が20日、スイスで積極的安楽死の処置を受けて死亡した。
患者自らが安楽死を求める積極的安楽死は、英国では違法だがスイスでは合法化されている。
積極的安楽死を推進する団体によると、スイスで処置を受けた英国人はこれで2人目だという。
チューリヒの施設で積極的安楽死の処置を受けたのは、英リバープールのレジナルド・クルーさん
(74)。水に溶かした多量の睡眠薬を与えられ、妻と娘が見守る中で亡くなった。
施設の場所や名前などは明らかにされていない。スイスに到着したクルーさんは、
医師から安楽死の意志を確認され、精神状態に問題がないと判断された後に、睡眠薬を処方された。
クルーさんは運動機能が失われていくMNDのため、自力で起きあがったり食事を取ったり
することができず、寝たきりの状態が4年近く続いていた。
(中略)
クルーさんは先月、「朝、目覚めることさえも苦痛だ。私の介護で家族は死ぬほどの苦しみを
味わっている。こんな状態で生きることそのものが、私に死ぬほどの苦しみを与えている。
私はこの世界から、解放されたいだけ」と話していた。
妻ウィニフレッドさんは、「夫はこの病気がどれだけ苦しいものか理解してもらうため、
積極的安楽死を選んだことを公表しました。自分で食事することもトイレに行くこともできない。
苦痛のため横になることもできない。首の筋肉が動かないために物をかめず、
まもなく声も出せなくなるという状態だったのです」と話す。
団体「ディグニタス」によると、スイスで合法的に積極的安楽死の処置を受けた英国人は、
クルーさんで2人目。1人目は、食道がんの77歳男性だったという。
この男性の詳細は明らかになっていないが、娘と息子の助けを借りて、
積極的安楽死の処置を受けたという。
2003.01.21 Web posted at: 16:39 JST - CNN
http://www.cnn.co.jp/science/K2003012101414.html