【社会】コミケ帰りのレッシグ教授が語る「著作権法の有り方は同人誌に学べ」★2
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名無しさん@3周年:
元ネタとなったLessigのCopycats and robotic dogsの全訳です。
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アメリカ人は、日本人がコミックという名前でより知られているグラフィック小説にいくらか取り付かれていることを知っている。
日本で生産される出版物の40%がコミックであり、それが日本の出版業界の収益を30%を占めている。しかし、日本のコミック(漫画)市場は2つのタイプに分かれている。
一つは純粋なオリジナル作品であり、もう片方はオリジナルの作品を違った、許可されていない方法で発展させた“アマチュア”(模倣コミック)である。
この2番目の形態の同人誌と呼ばれるコミックは日本において広大で、発展している市場である。
同人誌集会は日本で最大級の大衆集会で、毎年45万人以上のファンと3万3千人のアーティストを引きつけている。
そして、コミックがオンライン上に移動するにつれ、加速するオンラインゲームの浸透と共に、同人誌市場は成長のみが期待されている。
今秋に出版されたRutgers Law Reviewに掲載された論文においてテンプル大学の法律学者、Salil Mehraは著作権法に関わる殆どの弁護士を当惑させるであろう同人誌市場の状況に頭を悩ませている。
分かりやすく言ってしまえば、同人誌は違法である。米国の法律下において、この大規模な模倣市場は明らかにオリジナルの著作者の著作権の侵害になるであろう。
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続き。:03/01/12 22:42 ID:TD139IsW
日本の法律も、Mehra氏が示すように、それほどの違いはない。それでは、この大規模なオリジナルの漫画家の創作物の“剽窃”はどのように説明できるのであろうか。何故この“創作者の権利”の“侵害”が許されているのだろうか。
Mehra氏の論文は、著作権及びコンテンツ産業の視点と、弁護士及びビジネスの視点という、全く違う2つの視点の溝を橋渡しする素晴らしい成果である。
弁護士は、著作権をそれのみで完結するものと見なす。つまり、著作権への“侵害”は完全な悪であり、従って法律はこのような侵害をでき得る限り止めなければならない。
しかし、シカゴ大学で教育を受けた弁護士であるMehra氏は、この問題をビジネスの視点から見ている。
Mehraが示すように、この模倣市場は、それ無しでは発生しなかったであろう、オリジナル漫画への需要を刺激する。著作権のある作品の“使用”は、従ってオリジナルの作者の利益になるのである。
その理由は十分明白である。注目を引く(必要のある)経済では、顧客の注目を集め、彼らがそれに集中しつづけることが重要であり、同人誌市場は正にそれを行なっている。
ファンは同人誌に取りつかれ、それがオリジナルの作者の利益にもなる。それゆえ、仮に同人誌を法的に禁止すれば、弁護士は安堵するであろうが、コミック市場一般は損害を被ることになるであろう。
日本の漫画出版社はこのことを理解している。彼らは“剽窃”が“被害者”の利益になることを知っている。例え弁護士がこのような考えが理解できないよう教育されているとしても。
573 :
続き。:03/01/12 22:44 ID:TD139IsW
この例には、コンテンツ産業の経営者達が、彼らが事業に署名して弁護士に渡す前考えるべき教訓がある。
法律はキザギザの道具である。それは経済学の天才たちによって作られたものではない。
法律が新しい、これまでと異なる市場にどのような影響を与えるかはハッキリとは分からない。
従って、賢いビジネスはそのコンテンツの使用が“剽窃”であるかは問題にはせず、それがビジネスにとっての利益になるかを問題にする。
ビジネスの役目はビジネスの創設であって、著作権侵害の世界を洗練させることではない。
弁護士(シカゴのそれを除いて)は、典型的に、彼らの法的助言のビジネス上での帰結について考えるように教育されていない。
多くにとって、ビジネスは法律の下にある。
ソニーの弁護士が、アイボにジャズ・ダンスをさせるためのハックをオンラインに投稿したアイボのファンを威嚇した際、彼/彼女はアイボを顧客にとってより価値のあるものにする行為が、ソニーにとっての損害になるであることかを間違いなく考えてはいなかっただろう。
損害は問題ではなかった。
DCMA違反であることが問題だったのだ。それがソニーの利益になるかの如何を問わず、アイボをハックした顧客は処罰されるのである。
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これで終わり。:03/01/12 22:44 ID:TD139IsW
経営者は著作権での訴訟について、ビジネス上の正当な理由を要求し始めるべきである。
その訴訟は最終的な収益をどれほど向上させることができるだろうか?
それは市場をどれだけ成長させ、我々の製品への顧客需要を向上させるだろうか?
我々の顧客を犯罪者と呼ぶことが顧客へのロイヤリティーを向上させるだろうか?
要点は、一旦考えてみれば明白である。
しかし、それにどれだけ時間がかかるかは心もとない。10月末の東京での夕食のテーブルで、私はMehra氏の困惑をXerox PARCの主任科学者、John Seely Brownに説明した。
彼と私は、共にコンテンツ産業に関して多数の記事を書いてきており、我々はClay Christensenの“イノベーションのジレンマ”を応用し、新たな技術に適応する際の遅さについて理解をした。
Brown氏は「しかし、これはイノベーションのジレンマでは全くないのではないか」と私に述べた。
建築家でありBrown氏の夫人であるSusan Havilandがその日の朝、Brown氏に語ったように、これはどちらかと言えば「法律家に目隠しされた症候群」ではないだろうか。
ビジネスが、自分達のビジネスを忘れ、その代りに彼らの弁護士によって乗っ取られてしまれたのである。
これは重要な点であるが、悲しいかな、それは弁護士ではない人によって指摘されている。