米格付け機関のスタンダード&プアーズ(S&P)は、アジア太平洋各国の保険業界に
ついて、2003年に撤退や経営破たんが増える、との見通しを示した。
S&Pのアジア・パシフィック・レーティングス・グループのトップ、イアン・トンプソン氏が、
記者会見で明らかにした。
アジア太平地域では、投資収益率の変動が激しく、再保険金支払い余力がなくなって
いる状況が多くの国でみられている。こうした状況下、保険会社では、保有する保険
契約の再保険化が難しくなり、新規の引き受けを縮小させている。
また、規制緩和の動きで、当局による保険料設定への規制が徐々になくなり、一部の
国では、利益が保証されなくなっているという。 競争の激化も、状況を悪化させている。
トンプソン氏は、「域内の多くの国では、参入企業数が半減する可能性がある。それでも、
顧客のニーズに合った契約を提供できる、安定し、競争の働いた市場の構築につながる」
としたうえで、とりわけ、オーストラリアといった低成長の国の場合、外資が撤退する
可能性がある、と指摘した。
世界最大の保険市場である日本について、先行きの見通しは厳しく、統合の動きが続く
公算という。
トンプソン氏は、日本で、比較的規模の小さい保険会社が生き残っていけるかどうか、
疑問を示した。
中国については、大きな成長の可能性を持っているものの、S&Pでは短期、中期的には
ネガティブな見方をしている。トンプソン氏は、保険引き受け基準が十分整備されていない
こと、資本の不足、さまざまな不透明要因、政府の透明性の欠如などを指摘した。
引用元
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20021112-00000858-reu-bus_all