米連邦準備制度理事会(FRB)は31日、民間銀行に資金を貸し出す際に公定歩合を
適用する現行制度を廃止し、短期金利の指標であるフェデラル・ファンド(FF)金利の
誘導目標に一定の金利を上乗せする新制度の導入を正式に決定した。
新制度は来年1月9日から適用される。公定歩合はその役割を失って、事実上廃止され
る。
FRBは5月に新制度の導入計画を発表し、その後、金融界などから意見聴取を行って
きたが、新制度の導入に伴って市場に混乱が生じないと判断し、全会一致で導入を決めた。
新制度によると、米連銀が健全な銀行に資金を貸し出す際には、FF金利の誘導目標に1%
を上乗せした金利(プライマリークレジット金利)を適用し、健全性が劣る銀行への貸し出しに
は0・5%高率の1・5%を上乗せした金利(セカンダリークレジット金利)を適用するとしている。
現行制度では、公定歩合がFF金利より低く設定されてきたため、銀行は市場金利を下回る
水準で資金調達が可能だったが、融資の手続きが煩雑なため、ほとんど活用されていなかった。
新制度は公定歩合が事実上効力を失っていた現状を追認するとともに、民間銀行の資金繰りの
安定を図る狙いがあると見られる。
また、FRBは今回の措置について、「金利引き上げなどの金融政策の変更につながるもので
はない」と説明している。
引用元
http://www.yomiuri.co.jp/00/20021101i102.htm