【検察疑惑】疑惑の逮捕初公判で現職特捜部副部長と内部告発の三井氏が激しく応酬!

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450名無しさん@3周年
月刊現代9月号

匿名の司法ジャーナリストが覚悟の寄稿

4人の内部告発者と裏褒ガネ報道「封殺」の土囁
検察幹部は「秋霜烈日のバッジ」をはずせ

「もう大丈夫だ。調活問題は乗り切った」原田明夫検事総長は最近、周辺にそう言って自
信をのぞかせたという。「調査活動費(調活費)」を流用した法務・検察の組織的な衷ガ
ネづくりの隠蔽に成功したという意味だ。
 果たしてそうだろうか.カで押さえつけようとする者がカで倒されることは、歴史が我
々に教えてくれる真理のひとつだ。自らの不正を隠すため、内部告発しようとした幹部検
察官の「口封じ逮捕」に踏み切った法務・検察だけが、このままで済むとは思えない.
 「総長は『乗り切った』と言っているかもしれないが、あと一人でも調括費問題を内部
告発する者が出てきたら、もう持ちこたえられない」
 ある検察関係者の冷静な分析のほうが、よほど現実味がある。
451名無しさん@3周年:02/08/09 21:31 ID:EMTPhpym
 三井環・大阪高検公安部長(当時)は4月22日の逮描当日、身分を明かして調括費問
題を告発するため、テレビ朝日のキャスター・鳥越俊太郎氏のインタビューを受けること
になっていた。当局は逮捕後、メディアに対する発表やリークで、三井部慮の「悪徳検事」
像をフレームアップしていくのだが、原点に立ち返って逮捕容凝を冷静に見つめれば、「
よくもまあ、こんな微罪で逮捕したものだ」と思わざるを得ない。根拠については後述す
るが、三井部長の逮捕は、警察ですら戦後踏み切ったことがない「口封じ」のためのむき
出しの権力行使だったと断言できる。
 自らが作り上げた「悪徳検事」の不祥事で、原田検事総長は国家公務員法に基づく懲戒
処分を受けた初の検事総長として、戦後の検察史に名前を刻むことになった.そうなるこ
とが分かっていても三井部長の口を塞がなければならないはど追いつめられていたわけだ
が、この「肉を切らせて骨を断つ」策が逆に第二、第三の内部告発者を生み出すことになる。
 二〇年余りを検察庁で過どした福鳥県在住の高橋徳弘氏、48歳。1974年に検察事
務官に採用され、東京、仙台両地検などで勤務。91年には副検事に登用され山形、米沢
区検などで執務した後、96年に退官し、現在はミニコミ誌の副編集長を務めている。
 「三井部長の事件を報じる新聞を見て、口封じ的な逮捕を思わせる記事だと思った。調
括質問題を『事実無根』とする森山真弓法相のコメントに心の中で『それは違う』とつぶ
やいた。人の人生すら変えてしまう職種である検察が、真実を曲げることは許されない.
ある意味、犯罪の片棒を担いできた私自身の問題でもあった」
 高橋氏は、調活費の実態を解明するため市民団体が仙台地裁に.起こしている情報公開
訴訟の法廷に、実名の陳述書を提出しており、その中で内部告発の理由をこう説明してい
る。彼は現職当時、調活賛を裏ガネ化する上で重要な役割を担わされていた。
452名無しさん@3周年:02/08/09 21:32 ID:EMTPhpym
  偽造領収書
 ここで調活費の仕組みを改めて説明しておこう。筆者が二、三年かけて法務・検察内部
で取材を積み頭ね、集めた証言は完全に一致している.
 調活費は、検察庁が情報収集、情報交換、調査委託をするのに必要な経費として認めら
れた予算という建前になっている。98年度には、法務省から全国の五〇地検、八高検と
最高検に総額約6憶6000万円がばらまかれていた。検察庁ごとの配分額は庁の規模に
よって差があるが、この年度は最も多い東京地検で約5200万円、次いで最高検の約3
900万円、最も少ない函舘、山形、福井、高知などの地検でも各530万円に上ってい
た。調活費の私的流周が常態化したのは70年代後半とされ、98年度まで長年にわたっ
て、ほぼ全額が裏ガネとして検事正、検事長ら一部幹部の遊興費などになっていた。
 具体的な手口はこうだ。各検察庁には毎月、前渡し金として調活費予算から一定額が小
切手で届く。これを会計課長が日銀代理店(都銀など)に持ち込み、現金化して保管する.
ここまでが「表」のカネ.事務局長がでたらめな支出伺い書と偽造領収書を会計課長に渡
し、現金を受け取った時点で裏ガネとなる。支出伺い書では、職務上いかに重要な情報提
供を受けるために謝礼を支払うかが説明され、領収書には実在しない情報提供者の名前と
金額が記入されている。情報収集は公安的な活動のため、これらのでっち上げ文書は事務
局長の指示で公安事務課長が用意することが多いが、警察から必要な証拠の送付を受けて
起訴、不忠訴を決めるのが仕事の検察庁に、独自の情報収境などもともと必要がないこと
は言うまでもない。
453名無しさん@3周年:02/08/09 21:32 ID:EMTPhpym
 事務局長に現金を渡した会計課長は、支出伺い書と偽造領収書に従って、情報提供者に
謝礼を支払ったかのように会計帳簿に記録。事務局長は受け取った現金を金庫にプールし、
検事正や検事長らの遊興費として使う.事務局長は自分が君厳したと疑われないように裏
帳簿をつけており、飲食店から請求が来た場合には、請求書と領収書を帳簿に添付するが、
麻雀やゴルフなどに使う「つかみ金」として検事正、検事長らに手渡しした場合には証憑
類は付けず、日付とともに「検事正20万円」などと記録する.法務省でもほぽ同様のこ
とが行われていた.
 99年、法務・検察の職員でなければとても書けない詳細な匿名の内部告発文書(全9
枚)が各メディアや政党に送付されたことがある。その文書には、法務・検察幹部がいか
に調活費による裏ガネで遊んでいるかが、実名で記されている.すでに退官した人物が多
いが、<連日、深夜までカラオケに興じていた>検事総長、<女好きででたらめな遊興に
ふけった)特捜出身の東京地検検事正に<年間七〇回ゴルフコースに出たと豪語していた
>横浜地検検事正や<銀座の高級クラブに瀕繁に出入りしていた>法務事務次官、さらに
<殿様気分で妻や息子を連れてゴルフにふけり、代金全額を調活費で支払わせてさすがに
顰蹙を買った>千葉地検検事正− あまりに多すぎて、限られた紙幅ではとてもすべて紹
介し切れないが、いずれの記述も法務・検察内で筆者が耳にする話と一致しており、信憑
性は高い.
454名無しさん@3周年:02/08/09 21:33 ID:EMTPhpym
 一握りの幹部のために裏ガネをつくる事務局長らが、最も苦労するのが偽造領収書の確
保だ。情報提供一件につき、謝礼は5万円前後が相場だから、500万円の調査活動費を
裏カネ化するだけでも100枚の領収書が必要な計算。筆跡やペンを変えたり、あえて醤
油やコーヒーのシミをつけたり、涙ぐましい努力をすることになる.
 三井部長の逮捕に触発された内部告発者、高橋氏が「犯罪の片棒を担いできた」と自責
するのは、この領収書の偽造を手伝ってきたためだ。高橋氏の陳述書などによると−。
 「間違いなく本物だ」
「絶対、秘密は守ってくれよ」
 そうクギを刺されながら、高橋氏が上司の課長から領収書の偽造を頼まれたのは、仙台
高検庶務課に勤務していた83年ごろ.課長は「共犯になるのだから」と言わんばかりに、
言葉をつないだ。
「この領収書で調活費を出し、プール金として管理しているんだ。この金は正当な支出と
認められないようなものに使っている」
 この時、記入を指示された偽名は、本名の「高橋徳弘」にちなんで「高橋正彦」.一度
にまとめて書いたことがばれないように、ボールペンや万年畢、サインペンなどを使い分
けて印30〜50枚の領収書に署名しな。印鑑も仕事で使っているものは避け、自宅にあ
った古いニ、三本を使い分けて押した. その後、仙台高検管内のどこに異動してもニ、
三年に一度のぺ−スで、30〜60枚の領収書書偽造を頼まれた。まとめて偽造領収書を
確保して、二、三年かけて少しずつ使っているようだった。領収書の用紙など必要書類は
職場に届けられ、書き込んで送り返した.
 高橋氏は陳述書に、証言を裏付ける当時の資料の写しを添付している.宛名に高橋氏の
本名が明記され、領収書の用紙などが同封されていた仙台高検の公用封筒、「執務上必要
につき、協力願う。本書面は用済みになったら破東を」と記され、公印が押された事務局
長名の依頼書、偽名の「高橋正彦」と書こうとしてつい本名を書いてしまった書き損じの
領収書。
455名無しさん@3周年:02/08/09 21:33 ID:EMTPhpym
 筆者は複数の親しい検察関係者にこれらを見てもらったが、そろって、
「いかにも文書主義の我が社(検察)らしいやり方.これは間違いなく本物だ」
 という反応だった。
 高橋氏の内部告発は、証拠資料の写真ともに今年5月23日発売の週刊文春にも掲載さ
れたが、この日の参議院法務委員会で事の真偽をただされた森山法相は、法務官僚の説明
を鵜呑みにして、
「文書の形式から見ても(本物かどうか)疑わしい」
 と開き直った。ならば、事務局長名の依頼書は偽造公文書ということになるはずだが、
検察が捜査をしている様子はない.
高橋氏は告発前の視雑な心境を、
「検察にはいろんな思い出が凝縮されており、真実を話すとしても、昔の仲間を裏切るこ
とに変わりはない.家族に迷惑が及ばないとも限らず、いまの生活を安穏と続けたい気も
あったが、内部告発者でもいない限り、真実は隠され、疑惑のまま終わってしまうと考え
公表を決意した」
 としている。法務・検察当局は高橋氏を「競馬好きで借金を作り、副検事を辞めた者」
と、いかにも信用できない輩と言わんばかりに中傷した。それなのに、何ら抗議などの対
抗措置を取っておらず、出るところに出て真正面から証言の真偽を争えない弱みがにじみ
出ている。
456名無しさん@3周年:02/08/09 21:33 ID:EMTPhpym
 さらに、二人の内部告発者がいる。奈良地検と金沢地検の元検察事務官。
驚くことに、二人はいずれもカラ出張による裏ガネづくりの実態を週刊誌上などで証言し
た後、警察に逮捕されている。7月16日逮捕の奈良の元事務官は宅地造成工事現場に無
断で入った建造物侵入容疑、2月15日逮捕の金沢の元専務官は旅行会社で検察職員を装
い、約17万円相当の航空回数券を騙し取った詐欺容疑。奈良の元事務官には、送検段階
で日本酒二本(計3000円相当)の窃盗容疑も付けられたが、いずれも微罪だ.二人を
目障りに思う法務・検察が、警察に逮捕させたのかどうか、現時点では根拠を持ち合わせ
ていないが、四人の内部告発者のうち三井部長を含む三人が相次いで逮捕されたという事
実は、何らかの大きな意思を感じさせるのに十分ではないだろうか。当局が、わずかな違
法行為でも先見すれば強制捜査に踏み切るつもりで、内部告発者の動向に目を光らせてい
るように思えてならない。

 検察関係著たちの証言
 話を三井部長のケースに戻そう。4月22日の一回日の逮捕の際、大坂地検特撹部が立
てた彼の容擬事実は次の三つだった.
(1)競売で取辞した神戸市中央区のマンションに居住した事実はないのに、虚偽の転入
届を区役所に提出した=電磁的企正証書原本不実記録・同供用。
(2)不動産の所有権移転の際、居住者に認められる登録免許税の軽減措置(三井部長の
ケースでは47万5400円)を受けるため、虚偽の転入届で得た住民票を使い、神戸市
中央区役所から「住宅用家屋証明書」一通を詐取した=詐欺.
457名無しさん@3周年:02/08/09 21:34 ID:EMTPhpym
(3) マンションの買い戻しを希望する元の所有者との交渉が難航し、仲介役の暴力団
関係者の前科調書を取り寄せた=公務員職権濫用。
(1)は自分の所有不動産に住民票を移しただけのこと.もともと「住所」の定義は難し
く、過激派を逮捕するのに使われるような容凝だが、それでもほとんど超訴されることは
ない.読者の皆さんも単身赴任などの際に、都合によって住民票を移したり、移さなかっ
たりすると思うが、それと本質的には差がない.
(2)は紙切れ一枚の詐欺。難関資格試験の問題など、紙切れ一枚でも大きな財産的価値
を持つ場合はあるが、このケースではわずか47万円余りの減税が受けられるだけだった.
(3)は検察内部で意外に行われていることで、筆者が知る眼りでも、個人的なトラブル
を抱えた検事や検察事務官が相手を知るために前科照会していた。三井部長を逮捕するの
なら、彼らも逮捕されなければならない。
 罪名はおどろおどろしいのだが、本来なら(1)と(2)を合わせて、登録免許税47
万円余りの〃脱税未遂〃という事件だ。しかも、登録免許税法には脱税の処罰規定はない.
「身内に厳しく対処した」と言えば聞こえはいいが、いかにつまらない形式的な容擬で逮
摘したか、おわかりいただけると思う.もし、内部告発をしようとしている警察幹部を警
察がこんな容擬で逮捕しようと考え、検察に起訴できるかどうか相談したら、検察は「何
を考えているのか.こんな事件できるわけがない.口封じなどあきらめろ」と一喝するに
違いない.今回、大阪地検の事前の逮描状請求に対して、いつもはすんなり判子を押して
くれる大坂地裁の裁判官もさすがに凝問を隠せず、検事に説明を求めるなどして検討に検
討を重ねたという。逮捕状が出たのは夜遅くだった.
458名無しさん@3周年:02/08/09 21:34 ID:EMTPhpym
 さらに、筆者は多くの検察関係者から逮捕の経緯について証言を得ているが、そのすべ
てが「口封じ」の逮捕だったことを示している。
 まず、披査主体であるはずの大坂地検特捜部が、三井部長の容疑を知ったのは逮捕三日
前の4月19日だった。
「突然、大坂高検から降ってきた」
 と言うのだが、20日、21日と土日を挟んでいるから、事実上、逮捕前日と言っても
いい。当局がかなり慌てて三井部長の逮捕に踏み切った様子が窺える。
 三井部長の身辺を1月末から洗っていたのは、本来は直接撹査をすることがないはずの
大坂高検.検察幹部の一人は、
「高検が1月から三井のケツを追っていた」
 と表現しており、厳正な内偵捜査というより、三井部長をターゲットにした狙い撃ちの
捜査だった。
 しかも、大阪高検首脳は捜査班に対して「時間がない.ニヵ月で仕上げてくれ」と指示
していた。三井部長は今年に入って辞職覚悟で実名告発をする決意をし、かなり大っぴら
に庁内で週刊誌記者らと会ったり、執務室の電話を使って打ち合わせしたりしていたから、
当局は当然、三井部長の動きを察知していた.ゴールデンウイーク明けには、いよいよ三
井部長が実名でブラウン管に登場するという情報が広がっていたから、大坂高検首脳は「
二カ月」と期限を切ったという。
459名無しさん@3周年:02/08/09 21:35 ID:EMTPhpym
 大坂高検は大坂地検特捜部に事件を下ろす前に、主だったメンバーを上京させて原田検
事総長ら首脳陣に内容を説明した上で、ゴーサインを得ているボ、ある検察幹部は、「原
田総点は4月22日に三井のインタビユー撮りをする予定だったテレビ朝日が、その日の
夜、すぐに放送すると思い込んでいた.それで22日午前中の逮捕にこだわった」 と明
確に指摘している.
 三井部長の逮描後、最高検、大阪高検から大坂地検特損部には「とにかく余罪を出せ」
という厳命が下る。さすがに法律家の捜査プロ集団だから、上層部も逮捕容凝が弱すぎる
ことが痛いはど分かっていたわけだ。大阪地検はこれに応え、5月10日、三井部長を起
訴するとともに、収賄容擬で再逮捕。三井部長はこれで、とんでもない「汚職検事」にな
ったわけだが、暴力団閑係者に各種捜査情報を提供する見返りに得たとされたわいろは、
飲食接待四回(計約15万円相当)とデート嬢との遊興二回(計13万円相当)だけだっ
た.
1回目の逮捕容疑に比べれば、三井部長が決して「立派な検事」ではなかったことを示す
事実としては十分だが、普通なら懲戒処分の対象になるだけで、汚職事件としては立件さ
れないようなケースだ。警察で同様の不祥事があったら、警察は懲戒処分にするとともに
書類送検し、検察は起訴猶予にするだろう.ところが、三井部長は収賄罪でも起訴された。
460名無しさん@3周年:02/08/09 21:35 ID:EMTPhpym
 起訴後、ある検察閏係者が思わず漏らした言菜が今も忘れられない。
「大坂地検の捜査官が法務・検察を救ってくれた。批判に耐えられないような最初の逮描
容疑に、汚職を積み上げたのだから.ただ、それが将来の検察や日本にとって、本当に良
いことだったのかどうかは分からない」
 彼はそう言ったのだ。

 内部告発の動機
 三井部農を内部告発に駆り立てたものは、人事に対する不満だったとされる。72年司
法修習修了の二四期。同期には法務省の大林宏官房長、中尾巧大坂高検次席検事、特捜一
筋の熊崎勝彦最高検検事らがおり、皆が検事正を経験し栄進していく中で、自分は検事正
にもなれず不当に冷遇されているという思いがあったようだ。
 昨春には、高松地検次席時代に知り合った高松市の情報紙編集者に、調活費流用に絡む
詐欺罪で当時の加納駿亮・大阪地検検事正(現福岡高検検事長)らを最高検に告発させた
が、昨年中に「嫌凝なし」で不起訴となり、加納氏は検事長に栄転。ますます絶望し、実
名告発へと突き進んでいった。
 断っておくが、筆者は三井部長を内部告発のヒーローとして称えるつもりは毛頭ない。
むしろ、その動機には眉をひそめさせるものがあると思っている。ただ、組織内での地位
や将来を失う可能性が高い内部告発に人を突き動かすには、単なる正義感だけでは足りな
い.諸々の不満がエネルギーになるのは事実であり、それを一概に否定もできない.検察
もそんな内部告発を端緒にこれまで数多くの事件を立件し「正義」を実現してきたではないか.
461名無しさん@3周年:02/08/09 21:35 ID:EMTPhpym
他省庁に三井部長のような内部告発者がおり、その証言を得られたら、検察はそこから捜
査のメスを入れ、不正を暴いただろう。それとは正反対に、三井部長を逮捕して口を封じ
た上、刑事被告人の地位に置いて今後の発言の信用性を低下させ、幹部と組織を守ろうと
した今回の検察の姿に許すことのできない「犯罪的な不正義」を感じる。
 国民の信頼を決定的に失うことになりかねない現在の状況を招いた原因は、99年の内部
告発文書に対する対応の誤りにある.この時に、過去の非を認めて是正を約束した上で、
幹部に調括費の私的流用分を返納させ、目に余る使い方をした幹部を処分していれば」問
題をここまで引きずることはなかった。
 当時、対応を協議した法務・検察首脳は、法務省側が事務次官・原田明夫(現検事総艮)
、刑事局長・松尾邦弘(現最高検次長)、官房艮・但木敬一(現事務次官)、最高検側が
総務部長・頃安健司(現名古屋高検検事長ら。彼らは調括費問題をなかったことにする道
を選び、内部告発文書が届いていた政党などに「事実無根」と釈明した。
 当時を知る検察幹部OBが言う.
「あのころは、皆がどう対応するか頭を痛めていた。『事実無根』としたのは、結局、私
も含めて大なり小なり、幹部は調活費に手をつけたことがあるからだ」
 原田検事総長は盛岡地検、松尾次長は松山地検といった具合に、対応を協議した首脳陣
は全員がその時点で検事正を経験していた. ほかにもう一つ、理由があるように思われ
てならない。それは、前年の98年に東京地検特捜部が摘発した大蔵接待汚職の余韻だ。
462名無しさん@3周年:02/08/09 21:36 ID:EMTPhpym
 大蔵接待汚蹴は、銀行、証券業界からの飲食などの接待だけで、当時の大蔵、日銀官僚
五人が収賄罪で起訴された特異な事件だった。それまで、接待だけでは汚職に問われない
ことが、「常識」になっていたから、東京地検特捜部の捜査に対しては「だまし討ちだ」
「接待だけでも立件することを宣言して、その後の分に限ってやるべきだった」といった
批判が法務・検察の内外から相次いだ.飲食などの接待をわいろと認定したばかりの検察
で、公金を私的な飲食などに流用した幹部のスキャンダルが噴き出す−.それは、どうし
ても避けたい事態だったのではないだろうか。
 法務省関係者が、今も続く調活費問題隠蔽のための当局の懸命な努力を明かす。
「調活費を所管する法務省刑事局総務課の担当検事や事務官には、思想、信粂に問題がな
く、人事に不満もないエリートを配置するようになった。内部告発をされてはたまらない
からだ」
 何とも滑稽な話だが、まだある。同じ関係者が続ける。
「99年度からは、調括費で裏ガネをつくる仕組みはなくなった。しかし急に予算を返上
したら不自然なので、『インターネットの活用で支出が激減した』なんて子供だましの理
由で予算規模を縮小中(98年度は総額で的5億5000万円だったのが2000年度約
2憶3000万円)だが、今までまともに調活費を支出したことがない各検察庁は、裏ガ
ネに回す以外にどうやって予算を消化したらいいのか分からない.本省はマニュアルを配
ったり、間い合わせに応じたり、おおわらわだった」
463名無しさん@3周年:02/08/09 21:36 ID:EMTPhpym
 このマニュアルは、各検察庁から外部に流出しており、筆者の手元にも一部ある。当局
はマニュアルの存在も否定するが、そこに書かれている通り、急に馬鹿高い情報誌の購読
を始めたり、マスコミ関係者に「何でもいいからレポートを書いてくれ、謝礼は出すから」
と頼んだりする検察庁が増えていることを、どう説明するのだろうか。 法務・検察には
幹部OBから、
 「いくらなんでも『事実無根』はないだろう.我々が調括費の流用に手を染めたのは事
実だ。返納しろと言われるなら、返納してもいい」
 という声が届いているし、現場の検事らの問にも「調演質問題に対する対応といい、三
井事件の捜査といい、最近の検察はおかしい」
 という不満がくすぶっている。

 メディアの責任
 検察権は司法に密接するとは言え、内閣が最終的な責任を負う行政権の一つだ。それが、
今や公然の秘密になっている調括質問題について、法相の口を借りて「事実無根」と言い、
週刊誌に抗議し、内部告発者を逮捕する。現代の日本でなぜ、こんなことがまかり通るの
か。
その責任の一端はメデイアにある。
司法記者の中に、調活費問題を事実無根と思っている者は一人もいない。機密費詐取事件
の外務省のように、これが法務・検察以外の省庁だったら、今どろは洪水のような擬惑報
道が新聞紙面を埋め、テレビニュースの時間を占めていただろうが、目をつぶり続けた。
464名無しさん@3周年:02/08/09 21:37 ID:EMTPhpym
 司法記者の一人が打ち明ける。
「僕たちの評価は、どれだけ検察の捜査情報を取ってくることができるかで決まる。検察
に敵対する記事なんか書けるわけがない。もし原稿を出しても、デスクたちに『こんなこ
とをしている暇があったら、捜査ネタを取ってこい』と言われるのがオチだ」
 何とも情けない現実だ。
 例を挙げよう。ある全国紙のことだ。その社内には調活費問題を熱心に追い掛けている
記者がおり、系列の週刊誌も何度か追及記事を掲載している.そんな記事が出るたびに、
その社の司法記者は法務・検察の幹部を訪ね、「あの記事に僕たちは関わっていません。
なんであんな記事を書くのか、僕たちも困っているんです」と懸命に弁明して回っている.
 そして他社の記者は逆に、足を引っ張るチャンスとばかりに「あんな記事を書くなんて
信じられない。あの社はどうかしている.うちは違いますよ」と追従して回るのだ.
 いま東京地検特捜部が鈴木宗男衆院議員をめぐる事件の捜査を続けているが、この間の
報道を検証すれば、メディアのスタンスがよく見える.ひたすら検察の動きを〃予言〃す
ることを競う報道。「検察はこの凝惑を立件しそうですよ」「もうそろそろ鈴木議員を逮
捕しそうです」「きょう逮捕しますよ」−そんないずれ発表される内容の記事を出し、逮
捕後は検察のストーリに合致する続報だけを掲載する.「検察の捜査は適正か」「容疑に
問題はないか」というメディア本来のチェック機能が働く余地はなく、容疑者側の反論、
言い分に耳を傾けようとする姿勢もない.コバンザメよろしく捜査情報のリークに頼り、
「検察一人勝ち」の構図を固めるのに手を貸しているだけだ。
465名無しさん@3周年:02/08/09 21:37 ID:EMTPhpym
 危険で傲慢な捜査機関
三井部長の逮捕後、法務・検察当局は狡猾にも、メディアの捜査情報一辺倒の体質を利用
した節がある。三井部長の逮捕から一週問後の4月30日には、東京地検特捜部が鈴太宗
男衆院議員の秘書らを逮捕し、5月2日には千葉地検が公共工事をめぐを競売入札妨害事
件で井上裕・前参議院議長の秘書らを逮捕した。千葉地検の関係者は「もう少し内偵に時
間が欲しかったのに、上からせかされた」とはっきり言っている.当局が事件で三井部長
の逮捕や調括賛問題をかすませようとした凝いが浪厚だ。実際、三井部長の逮捕直後は調
括賛問題と絡めて「口封じ」の可能性を指摘するものもあった報道が、いつもの操作情報
たれ流し報道に戻るのにそう時間はかからなかった。
 刑事司法の世界で、検察ほどオールマイティーなカードを持つ存在はない.刑事事件の
ほとんどは、容疑者を逮捕するなどの必要な「一次捜査」を警察が担当する。その捜査結
果を基に.容擬者を起訴する「公訴権」を検察が持つことで、警察の暴走をチェックして
いるが、検察だけが他機関のチェックを受けることなしに一次捜査し、起訴する権限を握
っている。
 権力を独占する者が、権力を濫用してしまうことも歴史上の真理。自分が逮捕した容疑
者を起訴したいと思うのは人情だし、メンツもある.三井部長のケースのように、検察自
身が特別な目的を持った時、その濫用は頂点に達する.それが何よりも怖い。
「検察ファッショ」。一〇年以上前の検察幹部たちは、しばしばこの言葉を口にした。そ
う言われることを最も恐れていたし、そう言われないように検察権の行使に抑制を利かせ
ていた。ところが、いまこの言葉を戒めとしてロにする幹部はほとんどいない.「日本最
466名無しさん@3周年:02/08/09 21:37 ID:EMTPhpym
強の撹査機関」は「最も危験で傲慢な捜査機関」に変貌したように見える。
 検察は今や、一次捜査権と公訴権を安心して任せておける存在ではなくなった.一次捜
査権を剥奪するか、検察が一次捜査した事件については、予審制度のように検察から独立
した機関が、起訴、不起訴を決める、システムを作るべきではないか。
 2004年の春がリミット
 検察は鈴木議員の事件処理を秋に終えた後も、新たな事件に次々に着手する意向とされ、
ある現場の検事は、「調括費問題を吹っ飛ばすため、上は特捜部に走り続けるように求め
ている。特捜部が息切れした時が検察の倒れる時ということだろう」
と明かした。
 法務・検察の上層部は「事件で信頼を回復する」と言うつもりだろうが、自分たちの不
正を総括しないまま、人の不正を暴いても信頼は回復できない.      、
 調活費を本当は何に使ったのか、各検察庁の事務局長らがつけていた裏帳簿は、上層部
の指示で99年に一斉に廃棄された。しかし、表の会計帳簿は残っている.調括費が検事
正、検事長らの遊興用の財布になっていた最後の年、98年度の会計帳簿の保存期限は2
004年の春だ.まだ間に合う。架空の情報提供者に対する支出が記されたこの帳簿を基
に調査すれば、不正はす ぐに明らかになる.当局が「事実無根」と言い張るのなら、公
正な第三者機関に帳簿を提出して監査を受けるべきだ。
 不正を不正として認め、三井部長を逮捕した真相を明らかにする。それなくして、法務
・検察が「倍額回額の道」の入り口に立つことはあり得ない。
467名無しさん@3周年:02/08/09 21:38 ID:EMTPhpym
それなくして、法務
・検察が「信頼回復の道」の入り口に立つことはあり得ない。