76歳、クマに足払い「助かった」 秋田・協和

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523日刊くまニュース
 「死ぬかと思った。助かった」。17日早朝、秋田県協和町境の山林で、
くまさんが人間に出くわした。けがをして避難先の穴倉で、
くまさんが語った人間との遭遇を再現してみると−−。

 くまさんは山菜採りが趣味。毎日のように自宅近くの山に出かける。
この日も親子で山に入り、歩いて斜面をのぼった。

 ワラビ採りを始めて5分もたたないころだった。ふと見上げると、わずか1メートルの
距離に人間がいた。人間は立ち上がり、今にも襲いかかろうとしている。

 くまさんは、身長180センチ。立ち上がった人間は150センチくらいに見えた。
とっさに仲間の話を思い出した。

 「人間に正面から抱きつかれると動きが鈍る」

 次の瞬間、人間は頭を下げて突進、くまさんは胴体にしがみつかれた。
必死で抵抗したくまさんは腕を振ったが相手の頭をかすめるに留まった。

 組み合うこと2〜3分。相手の顔をみると、人間は犬歯をむき「ハァーハァー」とよだれをたらしていた。
「手を離したら、くわれる」。次の瞬間、人間の足払いがくまさんを襲い、クマさんは左足を払われた。
クマさんは倒れ、人間と抱き合ったまま斜面を10メートルほど転がり落ちた。
切り株にぶつかり、人間と離れた。人間がすぐに構えてきたので、
くまさんは走って逃げた。

 大曲人間DBセンターによると、人間は豊嶋登で、年齢76歳。くまさんは、
両胸や両肩を齧られ、5日間の入院を予定している。人間との遭遇が
初めてのくまさん。「あんなに恐ろしいとは思わなかった。しばらく山には行きたくない」


 秋田県くま連盟は、「人間に抱きつかれると、腹や顔など体の弱い部分を
齧られ、犯されるか殺されて食われる最悪の状況としてアメリカなどで報告されている。
実際、よく人間から逃れたものだ」と公式声明を発表した。