迷犬「もも」18歳 秋田・鹿角−宮城・鳴子170キロの旅 負傷に耐え3週間
宮城県鳴子町鬼首の「ホテルオニコウベ」(阿部修二支配人)にこのほど、鹿角
市内で行方不明になっていた犬がたどり着き、無事に保護された。3週間にわたり
県境を超え、少なくても170キロを越える“長旅”に、関係者は「信じられない。
よくぞ無事で…」と喜んでいる。
この犬は雑種のメス「もも」。18歳の高齢で、愛知県豊田市の無職工藤民也さ
ん(60)が飼い主だ。
民也さんは故郷の鹿角市で開かれる中学時代の同期会に出席するため、ももを連
れて5月31日、兄の無職工藤一彦さん(66)=鹿角市十和田毛馬内=宅を訪問。
その夜は落雷があったため、驚いて逃げ出したとみられる。ももの首輪のロープは
つないでいなかった。
ももは約3週間たった6月21日夕、ホテルオニコウベの玄関わきでぐったりして
いるのを男性従業員に発見された。ホテルはももの胸に傷があったため、建物の軒
下に段ボールを敷き、もものために「部屋」を用意。3泊4日で介抱した。
ホテルはももの回復を待って、宮城県警鳴子署に連絡。同署が秋田県警などに照
会した結果、ももと分かった。民也さんは半ばあきらめて豊田市に帰宅していたが、
「無事発見」の知らせが届き、6月29日に再会を果たした。
捜索や情報収集に当たった民也さんの同級生中村隆俊さん(60)=鹿角市十和
田毛馬内=は、ももがたどったルートについて「鹿角市八幡平の後生掛温泉で目撃
情報があり、温泉から田沢湖を抜け、湯沢市などから宮城県に自力で行ったのでは」と
推測する。
ホテル側は「傷を負いながら、200キロ近くも歩いた生命力はすごい」と脱帽。
民也さんは「胸がいっぱい。ホテルの人やみんなに良くしてもらい、ももは幸せだ」
と感激していた。
http://www.kahoku.co.jp/NEWS/2002/07/20020704J_15.htm