>>983の続き
地方自治法は懲罰の種類として「除名」のほか「戒告」「陳謝」「一定期間の出席
停止」を定めているが、除名には特に厳しい条件をつけている。選挙で選ばれた議員
の身分を手厚く保障し、多数派による恣意(しい)的な追放を防ぐためだ。
国会でも、与党ペースの審議や採決を阻むために少数派が議場の前で座り込むとい
った実力行動は、過去に何度も繰り返された。それでも、除名などという話は聞いた
ことがない。
汚職や不祥事にからんだ国会議員について、政権党は法的拘束力のない辞職勧告決
議案でさえなかなか認めない。有権者の負託を受けた議員の身分は重い、というのが
その理由だ。
そう考えると、自民党が先頭に立って2人の議員資格を奪った横浜市議会のありよ
うは尋常ではない。気になるのは、日の丸という機微に触れる問題だったからこそい
きり立ったのではないか、という点だ。
発端がほかの問題だったなら、2人が同じようなことをしても除名にまでしただろ
うか。与党が押し切った国旗・国歌の法制化は、こんなところにも後味の悪さをひき
ずっているといえまいか。
世の中には、対立や争いの要因は数え切れないほどある。気にくわないからといっ
て議長席を占拠するのが幼稚な行為だとすれば、多数派が寛容さを失って排除で応じ
るのは危険な行為というものだ。
ワールドカップ決勝戦が行われる国際都市。横浜市民はこれを許すのだろうか。