●● 米・アムトラック、存亡の危機 来月末に一部運行停止か ●●
全米規模で旅客鉄道を運営する唯一の組織、アムトラック(全米鉄道旅客公社)
が、存亡の危機に直面している。同社のガン総裁は20日、「政府が2億ドル(約
250億円)を緊急に融資しなければ、今月末から段階的に運行を停止せざるを得
ない」と訴えた。
だが、ミネタ運輸長官は同日、「アムトラックが改革を断行しない限り、融資に
応じられない」とし、分割・民営化を迫っている。
ガン総裁は米議会公聴会で、「この夏を乗り切るのに2億ドルが必要。だが、運
行停止に追い込まれれば、乗客からの予約を止め、車両を倉庫に収め、破綻(はた
ん)宣言をする」とした。
米議会の委員会が今年2月、アムトラックを輸送、インフラ管理など3部門に分
割し、このうちの輸送部門を段階的に民間会社に売り、最終的に完全民営化する再
建計画を示している。
アムトラックは、米政府を筆頭株主として70年に発足。おもに貨物鉄道会社の
路線を借り、旅客列車を走らせてきた。日本人旅行者の間でも、西海岸と東海岸を
結ぶ「大陸横断鉄道」、ボストン−ニューヨーク−ワシントンを結ぶ「大都市間鉄
道」として知られる。
だが航空機や自動車との競争に勝てず、これまで一度も黒字になったことがない。
米政府はアムトラックの赤字を埋めるため、毎年、数億ドルの補助金をつぎ込んで
きたが、債務は計約40億ドルに膨らんでおり、資金繰りがいよいよ厳しくなって
きた。
http://www.asahi.com/international/update/0621/007.html