【政治】[6/5]田中元外相、秘書問題の資料来週提出と発言
読売社説(2)[田中議員処分]「国政調査権使い疑惑を解明せよ」
http://www.yomiuri.co.jp/08/20020620ig91.htm 税金の不正な流用という疑惑である。事の重大性からみて、これで納得する
人は、ほとんどいないだろう。
自民党の党紀委員会は、公設秘書給与の流用疑惑がもたれている田中元外相
について、二年間の党員資格停止処分を決めた。
田中氏が疑惑解明に必要な資料提出を拒み、党の協力要請に応じなかったこ
となどの理由からだ。
国会議員は、国会が議決した政治倫理綱領に基づき、自らの疑惑に関して、
真摯(しんし)な態度で解明し、その責任を明らかにするよう努めなければな
らない。
だが、田中氏は一貫して流用疑惑を否定するばかりで、党の調査協力にまじ
めに対応せず、納得のいく説明を全くしてこなかった。こうした言動が処分の
対象になるのは、当然だろう。
(つづく)
(つづき)
今国会では、秘書絡みの疑惑で監督責任をとって辞職したり、離党した議員
が相次いだ。中でも、社民党の辻元清美・元衆院議員は、党が、元政策秘書の
給与の流用を認める調査をまとめ、議員辞職を促したことで、議員を辞職した。
これに対し、自民党の党紀委員会は、報告書で、田中氏の流用疑惑について、
「ますます、疑惑が深まった」と指摘するにとどまった。数々の疑問点を挙げ
たが、全容解明にはほど遠い内容だ。
調査に対する田中氏の不誠実な対応が原因だが、自民党の自浄能力不足の言
い訳にはなるまい。今後の疑惑解明は衆院の政治倫理審査会などにゲタを預け
ている。責任放棄と言わざるを得ない。
政権党がこんなことでは、国民の政治不信を一段と強めかねない。山崎幹事
長ら党執行部は、今回の処分で“田中疑惑”を幕引きとせず、国会での解明を
他党にも働きかけていく責任がある。
(つづく)
(つづき)
問われているのは、野党も同じだ。
野党はこれまで、田中氏に関しては異例と言っていいほど、国会での疑惑解
明に腰が引けていた。今になって、民主党や共産党などから国会での真相究明
を求める声が出始めているが、ご都合主義的な対応というしかない。
延長国会の課題は、重要法案の成立と政治倫理の確立である。二か月以上たっ
ても解明されない田中氏の疑惑を、このまま放置することは許されない。
国会は憲法上、政治家の不祥事も含め国政について調べる国政調査権をもつ。
この権限を行使して、与野党がそろって解明に当たるべきだ。田中氏本人はも
ちろん、元秘書や出向元企業の関係者を呼ぶなど、尽くすべき手立てはある。
田中氏が、国会の場で、説明責任を果たすのは当然のことだ。
[読売新聞6月21日]
毎日新聞社説 田中氏処分 秘書給与はほおかむりか
http://www.mainichi.co.jp/eye/shasetsu/200206/21-2.html 国会は、多くの議員に疑念がある秘書の勤務・給与問題をほおかむりするつ
もりか。自民党党紀委員会は20日、公設秘書の給与流用疑惑で、田中真紀子
前外相を2年間の党員資格停止にした。これは党内限りの処分だ。国会には同
氏の疑惑究明と、曖昧(あいまい)な秘書制度を改める責任がある。
田中氏の問題は、公設秘書をファミリー企業から派遣し、国からの給与を渡
さなかった疑惑だ。刑事責任も問われかねない。党紀委は多くの疑問を指摘し
つつ、「貴殿の協力なしには評価できない」として、問題の核心から逃げた。
処分理由は(1)疑惑を真摯(しんし)な態度で解明しなかった(2)参院新
潟補選で非協力的だった――の2点。党としては重い処分だそうだが、役職に
つかず、個人人気で当選してきた田中氏には、ほとんど痛みにならないだろう。
(つづく)
(つづき)
党紀委は田中氏に、衆院の政治倫理審査会で申し開きするよう促した。本来、
多くの疑問がある以上は、自民党自らが参考人招致や証人喚問を申し立てるべ
きではないか。自民党は、鈴木宗男容疑者の問題と同様に、自浄能力を発揮し
ていない。
秘書給与の流用では、かつて山本譲司元民主党衆院議員が有罪となり服役中
である。中島洋次郎元衆院議員は受託収賄事件と併せて起訴された(公判中に
自殺)。辻元清美前社民党政審会長も議員辞職した。田中氏の疑惑も、報道な
どで指摘された通りなら、政治、司法両面で放置できないはずだ。にもかかわ
らず、各党が積極的に動かないのはどういうことか。
田中氏は「なぜ私だけが」と不満げのようだ。議員の25%は妻や子息ら親
族を公設秘書に登録し、まともに仕事をしているのか疑わしい実態は改まって
いない。秘書から政党や議員への寄付は、議員の26%が行わせている。寄付
の中には、ピンはねに近いものもあるという。政策秘書の肩書で、年収100
0万円以上の給与が保障されながら、何人の秘書が、その待遇にふさわしい活
動を行っているだろう。
(つづく)
(つづき)
田中氏を国会で喚問しないのは、追及すると、返り血を浴びるような議員た
ちの秘書の実態を、暴露されると恐れているからか。辻元氏の「なんでやねん」
という恨み節にも、説得力があると認めざるを得ないのではないか。
私たちは、秘書給与の実態に関して、衆参両院議長名で全国会議員を調査し
て、公表するよう求めてきた。辻元氏の問題が明るみに出てから3カ月たった。
今の通常国会は疑惑、疑惑に明け暮れた。が、政治とカネに関しては、あっせ
ん利得罪の適用範囲を私設秘書に拡大する法案が成立の見通しという以外は、
手つかずである。
議員は、公設秘書を自分が雇った使用人だと勘違いしてはいけない。給与は
国費=税金から出ている。本人に直接渡さないのは違法である。台所が苦しく
「ワークシェアリングが必要」というなら、柔軟に運用できるよう法改正すれ
ばいい。なあなあのやり繰りは、疑念と不信を招くだけだ。
[毎日新聞6月21日]
主張 当を得ている「冬柴発言」
http://www.sankei.co.jp/news/editoria.htm 【田中前外相処分】
「政治とカネ」をめぐる不正疑惑で国会議員の辞職や秘書らの逮捕が相次ぎ、
ついには鈴木宗男衆院議員が逮捕されるという不祥事まみれの国会で、残され
ているのが田中真紀子前外相の公設秘書給与流用疑惑の解明である。自民党の
党紀委員会は、再三の釈明要求にも反発をあらわにする田中氏に対して、先の
参院新潟選挙区補選での非協力的な振る舞いとあわせて二年間の「党員資格停
止」の処分を決めた。
党規定では、除名や離党勧告に次ぐ重い処分となるが、自由奔放が身上の田
中氏にとって、党部会への出席禁止や総裁選の投票権失効、次期総選挙での党
公認の停止といったことがどれほどの痛手となるのか疑問だ。
(つづく)
(つづき)
身内の処分だけで公金“ピンハネ”の重大な疑惑にフタをすることは許され
まい。田中氏に自ら釈明する意思がみられない以上、国会として参考人招致や
証人喚問を求め、疑惑の徹底解明と政治腐敗の根絶へ立法府としての毅然(き
ぜん)とした姿勢を示すべきだ。
ロッキード事件やリクルート事件による政治不信の高まりを背景に、平成六
年の細川政権下で政治改革法が成立し、金権政治の打破に向けて、小選挙区比
例代表並立制や税金による政党助成制度などが導入された。だが、その後も政
界汚職は後を絶たず、毎年のように政治家の逮捕が続いている。
今回の鈴木容疑者のあっせん収賄容疑による逮捕も、根深い政官業癒着の実
態を摘発するとともに、国会の自浄能力の欠如を浮き彫りにした。鈴木容疑者
や辻元清美前社民党政審会長、加藤紘一元自民党幹事長、井上裕前参院議長ら
の疑惑追及に比べて、田中氏に対しては与野党とも及び腰で追及が甘いことも、
国民には不可解な点だ。
(つづく)
(つづき)
自民党のおざなりな調査と処分だけで、田中氏の疑惑を不問に付すことにな
れば、国会は自浄能力を完全に喪失し、国権の最高機関としての権威と信頼は
地に落ちることになろう。
公明党の冬柴鉄三幹事長は、田中氏の疑惑について「国会で事実を明らかに
しなければならない」と強調し、辻元氏についても「検察が逮捕、訴追しない
のは、司法として公平を欠く」と言明した。同感である。
政治において「不公平」は、最もあってはならないことだ。
[産経新聞6月21日]
社説2 自民党の処分では終わらぬ
http://www.nikkei.co.jp/news/shasetsu/20020620EIMI163020.html 自民党党紀委員会は、公設秘書給与の流用疑惑に関連して田中真紀子前外相
の党員資格を2年間停止する処分を決めた。党員資格の停止は、除名、離党勧
告に次ぐ処分であり、それなりに重い意味を持つが、疑惑は自民党の党内問題
にとどまるものではない。田中氏には国会の場で疑惑を解明する責任がある。
党紀委決定によれば、田中氏は20日から2年間、自民党所属議員・党員であ
ることに伴う一切の権利を失う。党における活動は禁止され、選挙区支部長や
党の役職は解任される。衆院の会派からも離脱の措置がとられる。この間に解
散・総選挙があっても公認されない。
(つづく)
(つづき)
田中氏の秘書給与流用疑惑に関しては「企業派遣の秘書の存在は自民党議員
の事務所では珍しくない」とする一種の擁護論もあるが、問題は税金の不正使
用に関する疑惑であり、軽い話ではない。それを追及しないのであれば、鈴木
宗男議員のあっせん収賄事件も「古い自民党の体質から出ているのだから……」
として見逃す根拠を与える結果になりかねない。政治の腐敗は止まらず、浄化
は遠のくばかりとなる。
処分理由の一つは、田中氏が疑惑の解明に非協力的な態度をとり続けた点に
ある。田中氏は党紀委の要請を無視し、潔白を証明する十分な証拠を提出しな
かった。
党紀委は、田中氏が提出したひとりの秘書の越後交通からの1カ月分の給与
明細を分析し、住民税額などから公設秘書給与として国が支払った額と越後交
通からの給与との間に年間数十万円から数百万円の差額があると推測する。田
中氏側は国からの給与相当額を越後交通が支払っていると主張するが、ここだ
けを見れば、差額を越後交通がピンハネする結果になっているように映る。
(つづく)
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名無しさん@3周年:02/06/21 11:53 ID:tSaj8BvW
(つづき)
限られた証拠だけから判断しても疑惑の実態はクロに近い灰色に見える。田
中氏が疑惑を晴らす方法はある。党紀委は田中氏に対し、国会での説明を求め
ているが、私たちもそれが適当と考える。国会の参考人招致あるいは証人喚問
に応じ、きちんとした資料を整えて同僚議員、国民に納得のいく説明をすれば
済む。疑惑が事実でないのであれば、それは難しい作業ではない。
[日本経済新聞6月21日]