http://www.mainichi.co.jp/digital/network/today/11.html ■いまごろトロンの総務相表彰 開発の坂村東大教授
「ここまで来るのに大変だった。ひどい目にあったから」。坂村健・東京大学大学院情
報学環教授(50)が3日、開発に取り組んできたコンピューターOS(基本ソフト)の
「トロン」が、「わが国の情報通信技術の進歩に多大の貢献をした」と総務大臣表彰を受けた。
坂村教授は、東京都内ホテルで開かれた「電波の日・情報通信月間」の記念式典に出席
し、晴れやかなスポットライトを浴びた。構想発表時の1984年には「日の丸OS」と持ては
やされながら、通商摩擦が激しくなる中で、米国から非関税障壁と名指しされる「言われ
なき非難」(坂村氏)を受けた。米国の強硬姿勢に官僚も産業界もそっぽを向き、表舞台
から葬られた経緯がある。
あれから10年以上が経過し、トロンOSは携帯電話に採用され、ウィンドウズより普及し
ている事実が今回の表彰につながった。坂村氏は「素直に喜びたい」と話しながら「あの時、
せめて邪魔しないで欲しかった」と無念さもにじんだ